ターが結成されると、業者から研究費を徴収する権限が付与される、という形式がとられている。
 一般的にいって、欧州諸国では、科学研究に国家が積極的に関与して、統一ある科学政策をたてるという形態がとられている。これに対するものはアメリカである。アメリカは、自由企業を今もって強力に擁護する国柄だけに、著名な大学は私立であるし、調査研究機関も民間に有力なものが多い。したがって科学政策を国家がとりあげることはしなかった。研究調査は、各機関の自由にまかせる体制が支配的であった。だが、アメリカでもニュー・ディール以来、国家の積極的活動が是認せられて、行政部門は急速に膨張し、それに伴って調査研究部門も拡大した。さらに、TVAや原子力委員会のごとき大規模な実験がなされて、国家が科学政策に大きくふみこんできた。第二次大戦およびその後の軍事的緊迫に伴って、厖大な軍事予算が科学振興のためにばらまかれるようになってからは、科学的研究調査は急速に国家予算と結びつく有様となった。大統領にも、各省にも、それぞれサイエンティフィック・アドヴァイザーが設けられた。大統領直属のサイエンティフィック・アドヴァイザーの報告にもとづいて、一九五〇年にナショナル・サイエンス・ファウンデーションの制度が生まれた。これは、科学研究の助成とコーオーディネーションとを目的としている。
 大学の研究所でさえ、国家予算によってまかなわれる部分が大きく、とりわけ最近では軍の予算から出ているものは約八割を占めている。その他、産業会社の委嘱による研究調査も重要な比重を占めており、結局、政府および会社の委託調査費が約九割を占めているとみられる。そしてその委託調査の形式は、コントラクト・リサーチが支配的である。研究者は研究費を受取り、成果を提供するという、ギヴ・アンド・テークの形式である。それ以外に何の束縛もうけないが、成果を引渡す責任を負うわけである。国家が科学研究に関与することについては、科学者の間に反対もある。研究調査は自由な立場でなされるべきことに対して強い愛着を感じているからである。しかし、これは概して年老いた科学者の考えであって、若い科学者たちは研究調査費の獲得という現実的問題からして、国家予算の分配を強く要望している。
 だが、アメリカにはまだ民間の有力な研究調査機関があり、デュポン、スタンダード・オイル、ゼネラル・エ
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