全国の図書館とも連絡をとって、総合カタローグ、マイクロフィルム等最大限の利用法が用意さるべきである。
かくの如く法が私達にかけている任務はまことに重大なのである。かかることが遂行されるために本年二月公布の法律によって、各出版物は、必ず一部ずつ国立国会図書館に納入さるべきであると規定しているのである。
われわれにとって、納入される新聞雑誌、諸出版、単行本は、中央気象台にかかって来る気象電話のように、一つ一つが、日本の現状のバロメーターの目盛として記録整理されてゆくのである。そして調査員はその目盛を研究総合してゆくことで、日本経済の低気圧が何処に在り、何処へ向っているかを予測しているのである。そして、国民自身のつくった法律として、その災害を防止するのにそなえて行こうとしているのである。
この組織の崩壊と不備は、やがて、予報の誤謬となり、文化自体の災害となってゆくのである。納本は論ずるまでもないが、有形無形の、この図書館を助け育て、自分達の幸福を防ぎまもろうとする好意のふん囲気を、私達は今、求めてやまないのである。
底本:「論理とその実践――組織論から図書館像へ――」てんびん社
1972(昭和47)年11月20日第1刷発行
1976(昭和51)年3月20日第2刷発行
初出:「東京新聞」
1948(昭和23)年7月24日
入力:鈴木厚司
校正:宮元淳一
2005年6月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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