ウ制限のままに放置する政策の問題に、関係するからである。私は、租税支払能力は、大量の貨物の総貨幣価値にも、また資本家及び地主の収入の総貨幣価値にも、依存するものではなくして、各人が通常消費する貨物の貨幣価値と比較しての彼れの収入の貨幣価値に依存するものであることを、示さんと努めたのである。
     一八二一年三月二十六日
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        目次

 訳序
 原著者序言
 第三版に対する原著者の注意
第一章 価値について
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第一節
(一)価値なる語の曖昧さ。使用上の価値と交換上の価値
(二)価値を有する物品における効用の必然的存在
(三)分量上の価値の原因。稀少性従って大抵の場合において労働
(四)稀少性
(五)(六)生産費及び交換価値の根拠としての労働。このことはスミスによって裏書きさる
(七)しかしながら彼は後に、穀物及びそれ自身交換される物品たる労働その他の価値標準を樹立している
(八)穀物に関しての誤謬。それはそれ自身多くの原因よりして可変的である
(九)労働もまた可変的である
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(一〇)それに関するスミスの誤謬
(一一)このことを更に例証す
(一二)あらゆる物の真実価値は、その生産に、または労働それ自身の場合にはその維持に、必要な労働量によって評価さるべきである
第二節
(一三)労働は疑いもなく種類を異にするけれども、かかる種類の相違はまもなく調整され引続き永久的なものとなるから、前掲の法則は覆《くつが》えされない
第三節
(一四)更にすべての企業においては資本が必要であり、従って貨物に直接に適用される労働がその価値に影響を及ぼすのみならず、更に最終工程を便ならしめるための為めの器具を準備するために用いられる労働もまた然《し》かする
(一五)このことは、貨物はその生産に投ぜられた各々の労働量によって交換されるという法則に、影響を及ぼさない。労働とは直接的なものと間接的なものとであると考えなければならない
(一六)このことは、不変的価値標準があるならばそれによって証明されるであろう
第四節
(一七)貨物はその生産に費された各々の労働量によって交換されるという法則は、次によって修正される
(一八)イ、かかる労働が直接でありまたは間接である相対的程度、すなわち機械その他の耐久的資本の比例的分量の相違、若干の貨物はそれによって、労働の価値の騰落により、他のもの以上に影響を蒙るから
第五節
(一九)ロ、資本の耐久力の不等
    ハ、生産に用いられる時間の比較的不等
(二〇)以上の要約
第六節
(二一)不変的価値尺度。その存在とその使用に必要な条件
第七節
(二二)貨幣はかかる不変的標準ではない
(二三)その価値の変動より起る相違
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第二章 地代について
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(二四)地代の性質及び定義。それに対し地代が支払われるもの
(二五)歴史的起源。存在原因、それは種々なる耕地によって産出される収穫の相違から生ずる
(二六)またはむしろ種々なる資本投下分に対しなされる収穫の相違から生ずる
(二七)交換価値は、存在する事情の内最も有利なそれの下において費された労働量によってではなく、最も不利なそれの下において費された労働量によって、決定される
(二八)地代の存在は農業の有利なことを証明するものではない
(二九)地代は富の増加の結果であって原因ではない
(三〇)地代全額は生産物に対する需要の減少によって減少する
(三一)同じことは、土壌の肥沃度の増加、またはその耕作様式の改良、によって齎《もたら》される
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第三章 鉱山の地代について
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(三二)鉱山の経済的[#「経済的」に傍点]地代は、土地の地代を支配すると同一の法則によって決定される。従って貴金属の価値は地代の存在によって影響を蒙らない
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第四章 自然価格及び市場価格について
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(三三)市場価格はしばしば貨物の自然価格から変動する。かかる変動は資本の投資を左右する
(三四)異る職業における率のある相違はこれらの各々の職業における真実のまたは想像上の便益の存在によって説明される
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第五章 労賃について
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(三五)労働の自然(名目)価格は必要貨物の価格に依存する
(三六)労働の市場価格
(三七)市場価格は資本の蓄積によって自然価格以上に騰貴し、自然価格自身は必要貨物の価格騰貴または愉楽の標準の変動によって騰貴する
(三八)資本の増加と労働の増加との関係
(三九)資本の増加率の減少は、貨物によって現わされる労賃の市場率の下落を惹起《ひきおこ》さないであろう、もっとも貨幣労賃は、耕作の進行につれて必要貨物の価格が騰貴しなければならぬから、騰貴しなければならないが
(四〇)このことは金が外国から輸入されるという事実によって影響を蒙らない。労賃の騰貴は価格の騰貴を惹起さない
(四一)救貧法の悪影響
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第六章 利潤について
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(四二)必要品の価格の変動は製造業者の利潤に影響を及ぼすが、製造品の価格には影響を及ぼさないであろう
(四三)その結果をかくの如く考えれば、その永久的結果は
(四四)利潤下落の傾向。ある最低限が蓄積を奨励するに必要である
(四五)より[#「より」に傍点]以上の考察
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第七章 外国貿易について
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(四六)外国貿易による市場の拡張は、価値を増加せしめず、「利潤率」に影響を及ぼさない
(四七)しかしながら異る国において生産された貨物は、一国から他国へ生産要素を移動せしめ得ないために、生産費によっては交換されない。各国は最大の便益を有つ貨物を生産している
(四八)このことは貨幣の介入によって変更を受けない。外国貿易によって貨幣は種々なる国の間にその必要に応じて分配される
(四九)手形の使用
(五〇)交換に参加する二国中の一国における産業の進歩の結果
(五一)種々なる国における貨幣価値の変動を惹起している他の原因
(五二)貨幣の価格及び価値のかかる変化は利潤には何らの影響をも及ぼさないであろう
    価格の地方的変化の二つの主たる原因――鉱山からの距離及び産業上の地位
(五三)為替相場の変化
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第八章 租税について
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(五四)租税は資本か収入かから支払われねばならぬ
(五五)後者からのその徴収を奨励するのが正しい政策である。このことは、一、死亡に関する税において、二、財産の移転に対する租税において、無視されている。しかのみならず、この後者は最も有利な産業の分配を害する
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第九章 粗生生産物に対する租税
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(五六)粗生生産物に対する租税は消費者の負担する所となる、けだしそれは土地の場合において耕作の限界に影響を及ぼすから
(五七)それに加うるにまたその結果として、問題の粗生生産物は労働者の消費に入り込むものと仮定されているから、それは労働の労賃を騰貴せしめかつ利潤を下落せしめる傾向がある。このことの結果として四つの反対論がかかる租税に対して主張されている
(五八)イ、固定的所得を享受している者は影響を受けない。これを反駁す
(五九)ロ、労賃は必要品の価格騰貴に単に徐々として随伴するに過ぎない。その結果として貧窮。このことを、価格騰貴が、一、供給の不足、二、需要の増加、三、貨幣価値の下落、四、必要品に対する租税、によって惹起されるものとして考察す
(六〇)ハ、蓄積が阻害される
(六一)ニ、外国の競争の場合における不利益
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第十章 地代に対する租税
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(六二)地代に対する租税は地代と同様に価格に影響を及ぼさない
(六三)しかし地代として支払われているものは二つの部分、すなわち地代そのものと支出に対する利潤とからなる。従って地代として支払われているものは価格に影響を及ぼし得よう
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第十一章 十分一税
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(六四)十分一税は消費者の負担する所となる
(六五)しかしそれは、外国からの輸入に対する奨励金の性質を有っているから、地主にとって不利である
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第十二章 地租
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(六六)地代と共に変動する地租は地代に対する租税であり、従って価格に影響を及ぼさない
(六七)しかし固定的地租は価格に影響を及ぼし、かつ最悪の土地を耕作している者にとり不公平であり、そして結局消費者の負担する所となる。従ってそれは労賃利潤間の関係に影響を及ぼし得よう。
(六八)しかしながら土地及び生産物に対するすべての租税は、供給需要間の関係を変更するから、生産を阻害する。アダム・スミス及びジー・ベー・セイの意見
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第十三章 金に対する租税
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(六九)金はそれに租税が課せられたからといって価格において急速に騰貴する傾きはない、けだし第一に、金の存在量は単に徐々として減少され得るに過ぎぬから
(七〇)第二に、金に対する需要は、ある確定量に対するというよりはむしろある交換能力に対するのであるから
(七一)従ってある事情の下においては租税が金に課せられてしかも何人によっても支払われないことがあり得よう。スペインの場合
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第十四章 家屋に対する租税
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(七二)同様に家屋に対する租税は、家屋数が急速に減少され得ないために、地主の負担する傾向となる
(七三)建築物家賃と敷地地代としての地代の分別
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第十五章 利潤に対する租税
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(七四)利潤に対する租税は、価格に影響を及ぼして、消費者の負担する所となるであろう。従って利潤に対する一般的租税は、貨幣価値が変動しない限り、価格の一般的騰貴を意味するであろう
(七五)しかしながらこの騰貴は、固定資本または流動資本への資本の分割され方の相違によって、すべての場合においては同一ででないであろう。英蘭《イングランド》銀行兌換停止条例に関する、このことからしての結論
(七六)利潤に対する租税が地主階級に与える格別の影響
(七七)消費者としての株主に対するそれ
(七八)利潤に対する租税による物価の影響され方
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第十六章 労賃に対する租税
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(七九)労賃に対する租税は、労賃の「名目」率の存在する故に、利潤の負担する所となるであろう。この率はアダム・スミスによって主張されたが、ビウキャナンによって反対された、後者は次のことを否定する
(八〇)第一、貨幣労賃は食物の価格によって左右されるということ
(八一)第二、租税は労働の価格を騰貴せしめるであろうということ
(八二)かかる租税は結局、アダム・スミスの考えるが如くに消費者の負担する所とはならず、利潤の負担する所とならなければならぬ
(八三)彼れの結論が正確であるとしても、それは彼れの想像している如くに外国貿易におけるその国の力を破壊しはしないであろう
(八四)必要品及び労賃の課税に関する彼れの見解を更に検討す
(八五)課税の一般的影響
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第十七章 粗生生産物以外の貨物に対する租税
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(八六)貨物に対す
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