ついに供給は需要に一致し、そして市場価格は自然価格にまで騰貴するに至るのである。
 マルサス氏は、人口の一般的増加は、資本の増加、その結果たる労働に対する需要、及び労賃の騰貴によって、生ずるものであり、食物の生産は単にその需要の結果に過ぎない、とは考えずに、人口は単に以前からの食物の備えによってのみ増加され、――『それ自身に対する需要を創り出すものは食物である、』――結婚に対して奨励が与えられるのは、まず食物を備えることによってである、と考えるに、余りに心傾き過ぎているように、私には思われる。
 労働者の境遇が改善されるのは、彼らにより[#「より」に傍点]多くの貨幣を、またはそれで労賃が支払われかつその価値が下落しなかった所の何らかの他の貨物を、与えることによってである。人口の増加と食物の増加とは、一般に高い労賃の結果ではあるが、その必然的な結果ではないであろう。労働者に支払われる価値の増加の結果としてのその境遇の改善は、必ずしも、彼をして結婚せしめ、家族を支える費用を負担せしめるものではない、――彼は、おそらくたぶん、その騰貴せる労賃の一部分を、食物及び必要品を豊富に手に入れるために
前へ 次へ
全691ページ中652ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング