の当面する真実の困難によって、左右されることを、説明せんと努めた。貨幣に対する利子についてもそうである。それは銀行が貸付けようとする率――それが五%であろうと四%であろうとまたは三%であろうと、――によってではなく、資本の使用によって作られ得、かつ貨幣の量または価値とは全然無関係の、利潤率によって、左右されるのである。銀行が百万を貸付けようと千万を貸付けようとまたは一億を貸付けようと、それは永久的には市場利子率を変動せしめはせず、単にそれがかくして発行した貨幣価値を変動せしめるのみであろう。一つの場合においては、同じ事業を営むために、他の場合に必要とさるべき貨幣よりも一〇倍または二〇倍より[#「より」に傍点]多くの貨幣が必要とされるかもしれない、かくて貨幣を銀行に借り入れんことを申込むことは、それの使用によって作られ得べき利潤の率と、銀行がそれを喜んで貸付けようとする率との間の比較に依存する。もしも銀行が市場利子率以下を課するならば、銀行の有つ貨幣額で貸付け得ないものはない、――もし銀行がその率以上を課するならば、浪費者や放蕩者の他は誰も銀行から借り入れないであろう。従って吾々は、市場利子率が、銀行が一律に貸出す率たる五%を超過する時には、割引課は貸付請求者によって包囲され、反対に市場率が一時的であるといえども五%である時には、この課の事務員には仕事がないことを見出すのである。
 かくて過ぐる二十年の間、銀行が、貨幣をもって商人を援助することによって、商業にかくも多くの助力を与え来った、と言われている理由は、けだしその全期間に亘って、銀行が、市場利子率以下で、すなわち商人が他で借入れ得た率以下で、貨幣を貸付けたからである。しかし――私は告白するが、――このことは銀行なる制度の賛成論であるよりはむしろその反対論であるように、私には思われるのである。
 毛織物業者の半分に市場価格以下で羊毛を規則的に供給すべき一制度については、吾々はこれを何と評すべきであろうか? それはいかなる利益を社会に対して有つであろうか? それは我国の取引を拡張しないであろうが、けだしそれが羊毛に対し市場価格を課したとしてもそれは等しく購買されたからである。それは消費者に対し毛織布の価格を低下せしめないが、それはけだしその価格は、前述の如くに、利益を受けること最も少き者にとってのその生産費によって左右されるからである。かくてその唯一の影響は、毛織物業者の一部分の利潤を通常利潤率以上に増加せしめることであろう。この制度はその公正な利潤を奪われ、そして社会の他の部分は同一の程度に利益を受けるであろう。さてかかるものがまさに我国の銀行制度の影響である。一利子率が、市場で借りられ得る率以下に決定されており、そして銀行は、この率で貸付けなければならず、しからざれば全然貸付けてはならないのである。銀行制度というものの性質からして、それはかくの如くして処分し得るに過ぎない大きな資金を有っている。そして我国の商人の一部分は、市場価格によってのみ影響されなければならぬ者よりより[#「より」に傍点]少い費用で、取引の用具を手に入れ得るために、不当に、そして国に対しては不利益になるように、利益を受けているのである。
 全会社が営み得る全事業は、その資本、すなわち、生産に用いられる粗生原料品、機械、食物、船舶等、の分量に依存する。良く調整された紙幣が行われるに至った後は、これらは銀行業の作用によっては増加されも減少されもし得ない。かくてもし国家がその国の紙幣を発行するものとするならば、それが一枚の手形も割引かず一シリングを公衆に貸付けなくとも、吾々は同一量の粗生原料品や機械や食物や船舶を有っているはずであるから、取引額には何らの変動も起らないであろう。そしてまたおそらく、法定率が市場率以下である時には実際必ず法定率たる五%ではなく、貸手と借手との間の市場における公正な競争の結果たる六、七、または八%で、同額の貨幣が貸付けられ得よう。
 アダム・スミスは、現金勘定によってなすべきスコットランド式資金融通方法が、イングランド式に勝ることから、商人が得る便益について、語っている。かかる現金勘定は、スコットランドの銀行業者がその顧客に、彼らのために彼が割引する手形を加えて、与える所の信用である。しかし銀行業者は、彼が貨幣を前貸してそれを一つの方法で流通界へ送出すに比例して、他の方法でそれだけを発行することを妨げられるのであるから、その便益が何であるかを認知することは困難である。もし全流通が単に百万の紙幣を支え得るに過ぎないならば、百万が流通されるに過ぎないであろう。そして銀行家にとっても商人にとっても、全体が手形の割引によって発行されるか、または、一部分がかくの如くして発行せられ、その残り
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