ャメイカによって支払われた奨励金によって、そこに誘致されるのである。
 二国における労働の不利益な分配によって受ける損失は、その一方にとっては有利であるかもしれぬが、しかし他方は実際かかる分配によって起る損失以上のものを蒙る、ということは、アダム・スミス自身によって述べられている。そしてこのことは、もしそれが真実であるならば、植民地にとっては大いに有害な一方策は、母国にとっては部分的に有利であるかもしれぬことを、直ちに証明するであろう。
 彼は通商条約を論じて曰く、『ある国民が条約によって自らを束縛し、ある外国からの一定の諸財貨の輸入を、他のすべての外国からの輸入は禁止しながら、許可し、またはある国の財貨を、他のすべての国の財貨には関税を課しながらこれを免除する時には、その通商がかくの如き特恵を受けている国または少くともその国の商人及び製造業者は、必然的に条約から大きな便益を得るに相違ない。かかる商人及び製造業者は、彼らに対してかくも寛大なこの国においては一種の独占を享受する。その国は、彼らの財貨に対するより[#「より」に傍点]広大なかつより[#「より」に傍点]有利な市場となる。より[#「より」に傍点]広大なというのは、、他の諸国民の財貨が排斥されまたはより[#「より」に傍点]重い関税を賦課されていて、彼らからより[#「より」に傍点]多量を購買するからであり、より[#「より」に傍点]有利なというのは、特恵国の商人はそこで一種の独占を享受していて、しばしばその財貨を、すべての他の国の自由競争に曝される場合よりもより[#「より」に傍点]高い価格で販売するからである。』
 通商条約を締結している二国が母国とその植民地とであるとしよう、そして、アダム・スミスは明かに、母国はその植民地を圧迫することによって利益を享《う》け得よう、としているのである。しかしながら、外国市場の独占が排他的一会社の手中にない限り、内国の購買者が貨物に支払う以上のものを外国の購買者が支払うことはなく、かかる双方の購買者が支払う価格は、それらの貨物が生産される国でのその自然価格と大して異ならないであろう、と云われるかもしれない。例えば英国は、通常の事情の下においては常に、フランスの財貨をフランスにおけるそれらの財貨の自然価格で買うことが出来、またフランスは英国の財貨を英国におけるその自然価格で買うという等しい特権を有っているであろう。しかしこれらの価格でならば条約がなくとも財貨は買われるであろう。しからば両当事国にとっていかなる利益または不利益を条約は有つのであるか?
 輸入国にとってのこの条約の不利益はこうであろう。すなわちそれはその国をして、一貨物を、例えば英国からこの国がおそらくそれをある他の国の遥かにより[#「より」に傍点]低い自然価格で購買し得る時に、英国におけるその貨物の自然価格で購買せしめるであろう。かくてそれは一般資本の分配を不利益ならしめ、それは主として、条約により最も不生産的な市場で購買せざるを得ない国の負担する所となる。しかしそれは売手にある想像上の独占の故をもって何らの利益を与えるものではない。けだし彼は、自国人の競争によってその財貨をその自然価格以上に売るのを妨げられるからであるが、彼はそれを、彼がそれをフランス、スペイン、または西|印度《インド》へ輸出しようとまたは国内消費のためにそれを売ろうと、この自然価格で販売するであろう。
 しからば条約中の約定の利益はいかなるものであるか? それはこうである。すなわちかかる特定の財貨は、もし英国のみがこの特定の市場に供給するという特権を有つということがなかったならば、そこで輸出のために作られ得なかったであろうが、けだし自然価格のより[#「より」に傍点]低い国の競争が、それらの貨物を売却するすべての機会をこの国から奪っていたから、ということである。
(一二〇)しかしながら、もし英国がその製造する何らかの他の財貨を、フランスの市場において、またはそれと等しい利益をもって何らかの他の市場において、同一額だけ確実に売却し得るならば、このことはほとんど大したことではなかったであろう。英国の目的は、例えば、五、〇〇〇|磅《ポンド》の価値を有つある分量のフランスの葡萄酒を買うことである、――しからばこの国は、この目的のために五、〇〇〇|磅《ポンド》を得んとしてどこかへその財貨を輸出するであろう。しかしもし貿易が自由であるならば、他国の競争のために、英国における毛織布の自然価格が英国に、毛織布の売却によって五、〇〇〇|磅《ポンド》を取得せしめ、またかかる資本用途によって通常利潤を取得せしめ得るに足るほど低くあることが妨げられるであろう。かくて英国の勤労は何らかの他の貨物に用いられねばならない。しかし現在の貨幣
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