、外国消費者にとっての穀価を、――もし穀物の価格が以前に内国市場よりも外国市場においてより[#「より」に傍点]低くなかった場合にはこの奨励金の金額だけ――そしてもし内国市場の価格が外国市場の価格以上であった場合にはそれよりもより[#「より」に傍点]少い程度に、――下落せしめることである。
エディンバラ評論の第五巻において穀物の輸出奨励金の問題を論じた一論者は、その外国及び内国の需要に対する影響を極めて明瞭に指摘している。彼はまた、それは輸出国における農業に刺戟を与えずにはおかないということを、正当に述べている。しかし彼はスミス博士及び思うに他の大抵の論者をこの問題に関し誤らせた共通の誤謬を鵜呑みにしているように思われる。彼は、穀物の価格は窮極的に労賃を左右するから、従ってそれはすべての他の貨物の価格を左右するであろうと想像している。彼は曰く、奨励金は、『農業の利潤を引上げることによって、耕作に対する刺戟として作用するであろう。国内の消費者達に対する穀価を騰貴せしめることによって、それはその間彼らの生活の必要品の購買力を減少し、かくて彼らの真実の富を削減するであろう。しかしながら、この最後の結果が一時的でなければならぬことは明かである。すなわち労働に従事する消費者の労賃は以前には競争によって調整されていたが、同じ原則は再び、労働の貨幣価格を、及びそれを通じて他の貨物のそれを[#「及びそれを通じて他の貨物のそれを」に傍点]、穀物の貨幣価格にまで[#「穀物の貨幣価格にまで」に傍点]騰貴せしめることによって、労賃を同一の率に調整するであろう。従って輸出奨励金は窮極的には内国市場における穀物の貨幣価格を騰貴せしめるであろう。しかしながら、それは直接的にではなく、外国市場における需要の拡張と、その結果たる内国における真実価格の騰貴という媒介を通じてである。そしてこの貨幣価格の騰貴は[#「そしてこの貨幣価格の騰貴は」に傍点]、それがひとたび他の貨物に伝播された時には[#「それがひとたび他の貨物に伝播された時には」に傍点]、もちろん固定的となるであろう[#「もちろん固定的となるであろう」に傍点]。』
しかしながら、もし私が、貨物の価格を騰貴せしめるものは労働の貨幣労賃ではなく、かかる騰貴は常に利潤に影響を及ぼすものである、ということを説明するに成功したとすれば、貨物の価格は奨励金の結果として騰貴するものではない、ということになるであろう。
しかし、海外よりの需要増加によって生じた穀価の一時的騰貴は、労働の貨幣価格には何らの影響をも及ぼさないであろう。穀物の騰貴は、以前にはもっぱら内国市場に向けられていた供給に対する競争によって齎される。利潤の騰貴により附加的資本は農業に用いられ、増加せる供給が得られることになる。
しかしそれが得られるまでは、消費を供給に比例せしめるために価格騰貴が絶対的に必要であるが、この騰貴は労賃の騰貴により相殺されるであろう。穀物の騰貴はその稀少の結果であり、そして国内購買者の需要が減少される方法である。もし労賃が騰貴するならば、競争は増加し、そして穀価のより[#「より」に傍点]以上の騰貴が必要となるであろう。奨励金の結果についてのこの記述において、穀物の市場価格が窮極的に支配される所のその他の自然価格を騰貴せしむべきものは何も起らないと仮定して来た。けだし一定の生産物を確保するためには土地である附加的労働が必要とされるとは仮定されなかったからであり、そしてこれのみがその自然価格を騰貴せしめ得るのである。もし毛織布の自然価格が一ヤアル二〇シリングであるならば、外国の需要の著しい増加は、その価格を二五シリングまたはそれ以上騰貴せしめるかもしれないが、しかしその時に毛織物製造業者の得る利潤は、資本をその方向に惹き附けずにはおかぬであろう、そして需要は二倍、三倍、あるいは四倍となっても、結局供給は得られ、毛織布は二〇シリングというその自然価格に下落するであろう。かくて、穀物の供給にあっても、年々吾々が二〇万、三〇万または八〇万クヲタアを輸出しても、それは窮極的に異れる労働量が生産に必要とならざる限り決して変化しない所のその自然価格において、生産されるであろう。
(一〇五)おそらく、アダム・スミスの正当に著名な著作のいかなる部分においても、奨励金に関する章におけるほどその結論が反対を容れ得るものはない。第一に彼は穀物をもって輸出奨励金によってその生産の増加され得ない貨物であるとしている。彼は常に、それは実際に生産された分量にのみ影響を及ぼし、より[#「より」に傍点]以上の生産に対しては何らの刺戟でもないと想像している。彼は曰く、『豊作の年には、異常な輸出を惹起すことによって、それは必然的に内国市場における穀価を、当然下落
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