還されないからである。市場利率は四%に下落するかもしれない。その時には政府は、もし五分利公債の所持者が四%または五%以下のある低い利率を得ることに同意しないならば、彼に額面価格で償還するであろう。市場利率が一年三%以下に下落するに至るまでは、彼らは、三分利公債の所持者にかくの如くして償還することによって何らの利益をも得ないであろう。国債の利子を支払うために多額の貨幣が一年に四囘数日間流通界から引去られる。かかる貨幣需要は単に一時的に過ぎないから、物価に影響することは稀である。それは一般に高い利子率を支払うことによって避けられるのである(註)。
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(註)セイ氏は曰く『すべての種類の公債は、資本または資本のある部分を、これを消費に向けるために生産的用途から引き去るという不便を伴う。そしてそれが、その政府が大なる信頼の念を起さしめない国[#「その政府が大なる信頼の念を起さしめない国」に傍点]において行われる時には、それは資本の利子を騰貴せしめるという新たな不便を有つことになる。七%または八%の利子を支払うのを辞さぬ借手が見出され得る時に、誰が年五%で農業や製造業や商業に貸付ける気になるであろう? 資本の利潤と呼ばれている種類の所得は、その場合、消費者の負担において騰貴するであろう。消費は生産物の価格の騰貴によって低減されるであろう。そして他の生産的勤労の需要は減少し、その受ける支払は減少するであろう。資本家達を除く全国民が、かかる事態により害を受けるであろう。』『信用の少い借手が七%または八%を与えようとする時に、誰が年五%で農業者や製造業者や商人に貸付ける気になるであろう?』という問に対しては、私は、あらゆる慎重なかつ合理的な人はその気になるであろう、と答える。貸手が異常な危険を冒す所で利子率が七%または八%であるからということは、かかる危険から確保されている場合にもそれが等しく高くなければならぬことの理由になろうか? セイ氏は利潤率は利子率に依存することを認めているが、しかしこのことから利子率が利潤率に依存するということにはならない。一方は原因であり他方は結果である。そしていかなる事情も両者をしてその位置を変えしめ得ないものである。
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    第二十二章 輸出奨励金及び輸入禁止

(一〇四)穀物の輸出奨励金は外国消費者にとりその価格を低める傾向を有っているが、しかしそれは内国市場におけるその価格に対しては何らの永続的な影響も有たないものである。
 資本の通常かつ一般的な利潤を与えるためには、穀価が英国において一クヲタアにつき四|磅《ポンド》であるべきであると仮定すれば、それは、一クヲタアにつき三|磅《ポンド》一五シリングで売られている外国には輸出され得ないであろう。しかしもしも一クヲタアにつき一〇シリングの奨励金が輸出に対し与えられるならば、それは外国市場において三|磅《ポンド》一〇シリングで売られることができ、従って、穀物栽培者は、それを外国市場で三|磅《ポンド》一〇シリングで売ろうとまたは内国市場において四|磅《ポンド》で売ろうと、同一の利潤を得るであろう。
 かくて英国穀物の価格を外国でその国の穀物生産費以下に低めるべき奨励金は、当然英国穀物に対する需要を拡張し、そして自国穀物に対する需要を減少せしめる。英国穀物に対するこの需要拡張は、一時内国市場においてその価格を高め、かつその期間中またこの奨励金が齎すべき傾向あるほどにそれが外国市場において下落することを妨げざるを得ない。しかし英国における穀物の市場価格にかくの如く作用する原因は、その自然価格またはその真実生産費には何らの影響をも及ぼさないであろう。穀物の栽培には、より[#「より」に傍点]多くの労働もまた、より[#「より」に傍点]多くの資本も必要とされず、従ってもし農業者の資本の利潤が以前には単に他の事業家の資本の利潤と等しいに過ぎなかったならば、それは価格の騰貴の後には、著しくそれ以上になるであろう。農業者の資本の利潤を騰貴せしめることにより、奨励金は農業に対する奨励として作用し、そして資本は、外国市場のための膨脹せる需要が供給されてしまうまでは、土地に用いられるために製造業から引き去られるであろうが、その時には穀価は内国市場において再びその自然価格、必要価格にまで下落し、利潤は再びその通常かつ慣習的な水準に下落するであろう。外国市場に影響を及ぼすこの穀物の供給増加は、またその輸出先の国の穀価を下落せしめ、そしてそれによって輸出業者の利潤を、彼が辛うじて取引をなし得る最低率に制限するであろう。
 しからば、穀物の輸出奨励金の窮極的結果は、内国市場における価格を騰落せしめることではなくて
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