貯財が、特定国の消費額の供給に及び生産労働の支持にそれがすべて使用し尽されない[#「特定国の消費額の供給に及び生産労働の支持にそれがすべて使用し尽されない」に傍点]ほどに増加される時は、その剰余部分は当然に運送業に注ぎ込まれ、そして同じ任務を他の国々に対して果《はた》すに用いられる。』
『約九万六千ホグスヘッドの煙草《たばこ》が、年々英国産業の剰余生産物の一部分で購買される。しかし大英国の需要はおそらく一万四千ホグスヘッド以上を必要としない。従ってもし残りの八万二千ホグスヘッドが、海外に送り出されて国内においてより需要のあるある物と交換され[#「国内においてより需要のあるある物と交換され」に傍点]得ないならば、その輸入は直ちに止み、そしてそれと共に[#「そしてそれと共に」に傍点]、この八万二千ホグスヘッドの煙草を年々購買すべき財貨の製造に現在用いられている大英国のすべての住民の生産的労働は止むであろう[#「この八万二千ホグスヘッドの煙草を年々購買すべき財貨の製造に現在用いられている大英国のすべての住民の生産的労働は止むであろう」に傍点]。』しかし大英国の生産的労働のこの部分は、国内においてより[#「より」に傍点]需要のあるある物を購買すべき何らかの他の種類の財貨の生産に用いられ得ないであろうか? そしてもしそれがなし得ないならば、吾々はその利益は減少するが、この生産労働を、国内において需要がある財貨の製造に、または少くともその何らかの代用品の製造に、用い得ないであろうか? もし吾々が天鵞絨《ビロード》を欲するならば、吾々は天鵞絨《ビロード》の製造を企て得ないであろうか、そしてもし吾々がそれをなし得ないならば、吾々は、より[#「より」に傍点]多くの毛織布、または吾々に望ましい何らかの他の物を製造し得ないであろうか?
 吾々は貨物を製造しそれをもって外国で財貨を購買するが、それは国内で造り得るよりもより[#「より」に傍点]多量を取得し得るからである。吾々がこの貿易を奪われるならば、吾々は直ちに再び自らのために製造する。しかしこのアダム・スミスの意見は、この問題に関する彼れのすべての一般学説とは異っている。『もし一外国が一貨物を吾々に、吾々自身が造り得るよりもより[#「より」に傍点]低廉に供給し得るならば、吾々がある利益を得るような方法で用いられている吾々の勤労の生産物のある部分をもって、その国からそれを購買するに如《し》かず。一国の一般的勤労は常に[#「一国の一般的勤労は常に」に傍点]、それを雇傭する資本に比例するから[#「それを雇傭する資本に比例するから」に傍点]、かかることによっては減少されず、ただ最も有利に使用され得る方法を見出すに委ねられるであろう。』
 また曰く、『従って自ら消費し得る以上の食物を支配する得る者は、常に、その剰余または同じことであるがその価格を、喜んで他の種類の欲望充足品と交換せんとしている。限定された欲望を充たした以上の余分は、到底充足され得ずかつ全く無限であるように思われる欲望の娯楽のために与えられる。貧民は食物を得んがために、富者のかかる嗜好を充すべく努力し、しかもそれをより[#「より」に傍点]確実に取得せんがために、彼らは互にその仕事の低廉と完全において競うのである。労働者の数は、食物量の増加すなわち土地の改良及び耕作の発展と共に増加する。そして彼らの業務の性質は極度の分業を許すから、彼らが仕上げ得る原料の分量は彼らの数以上の比例で増加する。従って人間の発明によって有用的にかまたは装飾的に建物や衣服や馬車や家具に用い得る所のあらゆる種類の原料に対する需要が起り、土殻中に包蔵される化石や鉱石、貴金属及び宝石に対する需要が起るのである。』
 かくてこれらの事柄を承認すれば、需要には限度がなく、――資本が何らかの利潤を生み出している間は、資本の使用には限度がなく――かつ資本がいかに豊富になっても、労賃の騰貴の他には利潤の下落に対する相当の理由はない、ということになり、更に、労賃騰貴の唯一の適当かつ永続的な原因は、増加しつつある労働者数に対して食物及び必要品を支給する困難の逓増であると、附加し得よう。
(一〇二)アダム・スミスは正当に、資本の利潤率を決定することは極めて困難であると述べた。『利潤は非常に変動しつつあり、ために、一職業においてさえ、また諸職業一般においてはなおいっそう、その平均率を述べることは困難であろう。それが以前に、または遠く隔った時期に、どれほどであったかを、少しでも正確に判断することは、全く不可能でなければならぬ。』しかも、貨幣の使用によって多くの収得が得られる時には、それに対して多くのものが与えられるべきことは明かであるから、彼は曰く、『市場利子率は吾々を導いて利潤率に関するある観
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