一部分は粗生生産物の価格騰貴の形においてその消費者によって、支払われるであろう。かかる事態においては、この租税は、ある事情の下において、地主達にとって有害であるよりもむしろ有利でさえあり得よう。けだしもし最劣等の土地の耕作者によって支払われる租税が、より[#「より」に傍点]肥沃な土地の耕作者によって支払われるそれよりも、取得される生産物の分量との比例においてより[#「より」に傍点]高いならば、すべての穀物に及ぶ穀価の騰貴は、後者にこの租税を償って余りあるであろうからである。この利益はその借地契約の継続期間中は彼らに続くであろうが、その後はその地主に移転されるであろう。これは進歩しつつある社会における救貧税の結果であろう。しかし静止的または退歩的な国においては、資本が土地から引去られ得ない限り、もし更に税金が貧民の支持のために賦課せられるならば、農業の負担する所となるその部分は、現在の借地期間中は農業者によって支払われるであろうが、しかしかかる借地契約の満了した時には、それはほとんど全く地主の負担する所となるであろう。以前の借地契約の継続期間中に、その土地の改良にその資本を支出した農業者は、もしその土地が依然彼れの手中にあるならば、土地がその改良によって得た新たな価値に応じてこの新租税を課せられ、そして彼れの利潤がそのために一般水準以下に低下しても、彼はその借地期間中この金額を支払わざるを得ないであろう。けだし彼が支出した資本は、到底それから引去られ得ない程度に合体していることが有り得るからである。実際、もし彼または彼れの地主(もし資本が彼によって支出されていたならば)がこの資本を引去ることが出来、かつそれによってこの土地の年々の価値を低減せしめることが出来るならば、この税はそれに比例して下落し、そして生産物は同時に減少するから、その価格は騰貴するであろう。彼はこの租税を消費者に課することによってその補償を得、従っていかなる部分も地代の負担する所とはならないであろう。しかしこれは少くとも、資本のある部分については不可能であり、従って、租税は、その比例において、農業者の借地期間中は彼らによって、またその満了後は地主によって、支払われるであろう。この附加的租税は、もしそれが特に荷重に製造業者の負担する所となるならば、――事実はそうなることはないが、――かかる事情の下においては、彼らの財貨の価格に附加されるであろう。けだし彼らの資本が容易に農業に移転され得る時に、彼らの利潤が一般利潤以下に低減されるべき理由はあり得ぬからである(註)。
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(註)本書の前の部分において私は、正当に地代と呼ばるべき地代と、地主の資本がその借地人に与えた利潤に対して地代という名前で地主に支払われる報酬との間の、差異に注意した。しかし私はおそらく、この資本の適用される方法の異ることから生ずる差異を十分明かにしなかった。資本の一部分は、ひとたび農場の改良に費される時には、土地と不可分離に融合され、その生産力を増加せしめる傾向を有つから、その使用に対して地主に支払われる報酬は、厳密には地代の性質を有ち、地代に関するあらゆる法則に服するものである。それが地主の費用でなされようとまたは借地人の費用でなされようと、この改良は、第一に報酬がある他の等しい額の資本の投下によって挙げ得べき利潤と少くとも相等しいという強い蓋然性がない限り、企てられないであろう。しかしひとたび改良がなされた時には、取得された報酬はその後は常に全く地代の性質を有つに至り、かつ地代のあらゆる変動を蒙るであろう。しかしながらこれらの費用のあるものは、単に限られた期間だけ土地に利益を与えるに過ぎず、永久的にその生産力を増加せしめることはない。すなわち建物及びその他の消耗的な改良に投ぜられるならばそれは絶えず更新される必要があり、従って地主のためにその真実地代に対する何らの永続的附加をも獲得しないのである。
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第十九章 貿易路の急変について
(九二)大製造業国は、特に、資本が一つの職業から他の職業へと移転するために生ずる一時的の災難や事故に曝されている。農業生産物に対する需要は均一であり、それは流行や偏見や気紛れの影響を蒙らない。生命を維持するためには食物が必要であり、そして食物に対する需要はすべての時代、すべての国において継続しなければならない。製造品についてはこれと異る。ある特定の製造貨物に対する需要は、啻に購買者の欲望に支配されるのみならず、更に嗜好や気紛れにも支配される。新租税もまた、一国が特定貨物の製造において有っていた比較的な得点を破壊するかもしれず、または戦争の結果その運送上の船賃及び保険料が騰貴し
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