oされたすべての金と交換に以前よりもより[#「より」に傍点]多くの財貨が取得されはしないであろう。そこでしからば、スペインとその植民地にとってどこに利益があるか? と問われ得よう。その利益はこういうことであろう、すなわち、もしより[#「より」に傍点]少い金が生産されるならば、より[#「より」に傍点]少い資本がその生産に用いられ、以前により[#「より」に傍点]大なる資本の使用によって取得されたと同一の価値を有つヨオロッパからの財貨が、より[#「より」に傍点]小なる資本の使用によって輸入され、従って鉱山から引き去られた資本の使用によって得られたすべての生産物は、スペインが租税の賦課によって得、かつそれが他のいかなる貨物の独占権の所有によってもかくも豊富にかつかくも確実に取得し得ないであろう所の、利益であろう。かかる租税からは、貨幣の関する限りにおいては、ヨオロッパの諸国民は何らの害をも蒙らないであろう。彼らは以前と同一の分量の財貨を有ち、従って同一の享楽手段を有つであろうが、しかしこれらの財貨は、貨幣価値が騰貴しているから、より[#「より」に傍点]少い分量の貨幣をもって流通されるであろう。
もし租税の結果として金の現在量の単に十分の一が鉱山から得られるに過ぎないとするならば、その十分の一は現在生産されている十分の一と等しい価値を有つであろう。しかしスペイン王は貴金属の鉱山を独占的に所有してはいない。そしてもし彼がそれを独占しているとしても、その所有による彼れの利益及び課税権力は大なり小なりの程度における紙幣の普遍的代用の結果として、ヨオロッパにおける需要と消費との制限によって、極めて著しく減ぜられるであろう。あらゆる貨物の市場価格と自然価格との一致は、あらゆる時において、供給が増減され得る容易さに依存する。金や家屋や労働や並びにその他の多くの物の場合には、ある事情の下においては、この結果は急速に齎され得ない。しかし帽子や靴や穀物や毛織布の如き、年々消費されかつ再生産される貨物の場合はこれと異る。それらは、必要の際には、減ぜられ得よう、そして供給がそれらの生産費の増加に比例して縮小されるまでの時の隔りは、長くあり得ないのである。
土地の表面からの粗生生産物に対する租税は、吾々の既に見た如くに、消費者の負担する所となり、そして毫も地代には影響を及ぼさないであろう。ただしそれが労働の維持のための基金を減少することによって、労賃を低め、人口を減じ、そして穀物に対する需要を減少する場合は、この限りではない。しかし金鉱の生産物に対する租税は、この金属の価値を騰貴せしめることによって、必然的にそれに対する需要を減じ、従って必然的に資本が用いられていた職業からその資本を排除しなければならない。しからば、金に対する租税から前述のすべての利益をスペインは得るであろうにもかかわらず、資本が引き去られた鉱山の所有者はすべての彼らの地位を失うであろう。これは個人に対する損失ではあろうが、しかし国民的損失ではないであろう。地代は富の創造ではなく単にその移転に過ぎないからである。スペイン王と、引続き採掘される鉱山の所有者は、相共に、啻に解放された資本が生産したすべてを受取るのみならず、更に他の所有者が失ったすべてをも受取るであろう。
第一等、第二等、及び第三等の質の鉱山が採掘されており、そして各々一〇〇、八〇、及び七〇|封度《ポンド》の重量の金を生産し、従って第一等鉱山の地代は三十|封度《ポンド》であり、第二鉱山のそれは十|封度《ポンド》であると仮定せよ。今租税は採掘されている各鉱山に対して年々七十|封度《ポンド》の金であり、従って第一等鉱山のみが有利に採掘され得ると仮定せよ。すべての地代が直ちに消失すべきことは明かである。租税の賦課以前には、第一等鉱山で生産された一〇〇|封度《ポンド》の中から三十|封度《ポンド》の地代が支払われ、そしてこの鉱山の採掘者は、最も生産力の小なる鉱山の生産物に等しい額たる七十|封度《ポンド》を保有した。しからば第一等の鉱山の資本家の手に残るものの価値は、以前と同一でなければならず、しからざれば彼は資本の通常利潤を取得しないであろう。従って租税として、彼れの一〇〇|封度《ポンド》の中から七〇|封度《ポンド》を支払った後に、残りの三十|封度《ポンド》の価値は以前の七十|封度《ポンド》の価値と同じ大きさでなければならず、従って全百|封度《ポンド》の価値は以前の二三三|封度《ポンド》の価値と同じ大いさでなければならない。その価値はより[#「より」に傍点]高いかもしれないが、しかしそれはより[#「より」に傍点]低くはあり得ないであろう、しからざればこの鉱山ですら採掘されざるに至るであろう。それは独占貨物であるからその自然価値を超過し得
前へ
次へ
全173ページ中79ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング