ナであった。平民の保有地のみが課税され、粗生生産物の価格は租税に比例して騰貴し、従ってその所有地の課税されなかった人々は彼らの地代の増加によって利益を受けた。粗生生産物に対する租税並びに十分一税は、この反対論から免れる。それらは、粗生生産物の価格を騰貴せしめるが、しかしそれらは、各々の質の土地に、その実際の生産物に比例して納税させ、そして生産力の最小なるものの生産物に比例しては納税させないのである。
 アダム・スミスが地代についてとった特殊な見解からして、すなわち、あらゆる国において、何らの地代もそれに対して支払われない土地に多くの資本が投ぜられていることを、彼が観察しなかったことからして、彼は、土地に対するすべての租税は、それが地租または十分一税の形において土地そのものに対して賦課せられようと、または農業者の利潤から徴収されようと、すべて常に地主によって支払われるものであり、そして租税は一般に名目上借地人によって前払されてはいるが、すべての場合において地主が真実の納税者である、と結論した。彼は曰く、『土地の生産物に対する租税は実際においては地代に対する租税である。そしてそれは初めは農業者によって前払されるかもしれぬが、終局的には地主によって支払われる。生産物の一定部分が租税として払い出さるべき時には、農業者は出来るだけ詳しくこの部分の価値が年々|幾何《いくばく》に上りそうであるかを計算し、そして彼が地主に対して支払うことを同意している地代をそれに比例して減額する。この種の地租たる教会十分一税が年々幾何に上りそうであるかをあらかじめ計算しない農業者はない。』(訳者註)農業者が彼れの農場の地代について彼れの地主と約定する時にあらゆる種類の蓋然的支出を計算することは疑いもなく真実である。そしてもし教会に支払われる十分一税に対し、または土地の生産物に対する租税に対して、彼がその農場の生産物の相対価値の騰貴によって補償されないならば、彼は当然にそれを彼れの地代から控除せんと努めるであろう。しかしまさにこれが、すなわち、彼は結局それを彼れの地代から控除するであろうか、または生産物の価格騰貴によって補償されるであろうか、ということが、論争のある問題なのである。既に述べた理由により、私は彼らが生産物の価格を引上げるであろうことを、従ってアダム・スミスはこの重要な問題について誤れる見解をとっていたことを、少しも疑い得ないのである。
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(訳者註)キャナン版、第二巻、三二一頁。
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 スミス博士のこの主題に関する見解がおそらく彼をして次の如く述べしめた理由である、すなわち、『十分一税、及びこの種のあらゆる他の地租は、完全な平等の外観を有ちながら極めて不平等な租税であり、それは、生産物の一定分量も、事情の異る場合には、はなはだ異る分量の地代に相当するからである。』(訳者註)かかる租税は重さを異にして農業者または地主の異る階級の負担する所とはならないが、けだし彼らは共に粗生生産物の騰貴によって補償され、そして単に彼らが粗生生産物の消費者たるに比例してこの租税を納付するに過ぎないからである、ということを、私は説明せんと努力し来った。実に労賃が、そして労賃を通じて利潤率が、影響を蒙る故に、地主はかかる租税に対し彼らの十分な分前を納付せず特に免除された階級なのである。その基金が不十分なために租税を支払い得ない所の労働者の負担に課せられる租税部分が引き出されるのは、資本の利潤からである。この部分は資本の使用によりその所得を得るすべての者のもっぱら負担する所であり、従ってそれは毫も地主に影響を及ぼさない。
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(訳者註)キャナン版、同上。
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(六八)十分一税及び土地と生産物とに対する租税に関するこの見解からして、それらは耕作を阻害しないと推論してはならぬ。極めて一般的に需要されているいかなる種類でもの[#「でもの」はママ]貨物の交換価値を騰貴せしめるあらゆるものは、耕作及び生産の両者を阻害する傾向がある。しかしこれはあらゆる課税から免れ得ぬ害悪であり、そして吾々が今論じている特定の租税に限られるものではない。
 このことはもちろん国家によって受領されかつ支出されるすべての租税に伴う不可避的な不利益と考え得よう。あらゆる新労働の一部分は今や国家の自由になし得る所となり、従って生産的に使用され得ない。この部分が極めて大となり、そのために、通常彼らの貯蓄によって国家の資本を増大する者の努力を刺戟するに足る剰余生産物が、残されなくなるであろう。課税は幸《さいわい》にして、未だいかなる自由国家においても、不断に年々その資本を減少せしめるほどに行われたことはない。かかる課税状態は久しく
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