O〇%逆である。
 英国において一〇〇|磅《ポンド》は、オランダにおいて一〇一|磅《ポンド》、フランスにおいて一〇二|磅《ポンド》、及びスペインにおいて一〇五|磅《ポンド》を受取る権利、すなわち手形を購買し得よう。その場合には英国との為替相場は、オランダにとり一%逆、フランスにとり二%逆、そしてスペインにとり五%逆、と言われる。それは、これらの国においては通貨の水準が当然あるべきよりもより[#「より」に傍点]高いことを示すものであり、そして英国のそれは、これらの国から通貨を引出すかまたは英国の通貨を増加せしめることによって、直ちに平価に囘復されるであろう。
 我国の通貨が最近十年間減価し、その間に為替相場は我国に二〇ないし三〇%逆となった、と主張した人々も、貨幣は一国において、種々なる貨物との比較において、他国におけるよりもより[#「より」に傍点]大なる価値を有ち得ないとは――彼らはかく主張したと非難されているが、――主張したのでは決してない。彼らは、一三〇|磅《ポンド》が、ハムブルグまたはオランダの貨幣で評価して、一〇〇|磅《ポンド》に含まれる地金よりもより[#「より」に傍点]多くの価値を有たない時には、それが減価せられざる限り、それは英国に留置され得ない、と主張したのである。
 一三〇|磅《ポンド》の純良な英国|磅《ポンド》貨幣をハムブルグへ送ることによって、五|磅《ポンド》の費用を要しても、私はハムブルグで一二五|磅《ポンド》を得るであろう。しからばハムブルグにおいて一〇〇|磅《ポンド》を私に与える手形に対し一三〇|磅《ポンド》を支払うことを私に承諾せしめるものは、私の磅《ポンド》が純良な磅《ポンド》貨幣でないということ以外の理由で有り得ようか? ――私の磅《ポンド》は減価せられたのであり、その内在価値においてハムブルグの磅《ポンド》貨幣以下に低下せしめられたのであり、そしてもし実際五|磅《ポンド》の費用でその地へ送られるならば一〇〇|磅《ポンド》にしか売れぬであろう。金属|磅《ポンド》貨幣をもってすれば私の一三〇|磅《ポンド》はハムブルグにおいて私に一二五|磅《ポンド》を与えるであろうが、しかし磅《ポンド》貨幣をもってすれば私は単に一〇〇|磅《ポンド》を取得し得るに過ぎないということは、否定されていないが、しかし紙幣での一三〇|磅《ポンド》は銀または金での一
前へ 次へ
全346ページ中119ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング