謔チて、節約並びに資本の蓄積に対して刺戟を与えるから、一国にとり極めて有利ではあるが、輸入貨物がそれに労働の労賃が費される種類のものでない限り、資本の利潤を引上げる傾向を有たないであろう。
外国貿易についてなされた叙述は内国商業にも同様に妥当する。利潤率は、労働のより[#「より」に傍点]良き分配により、機械の発明により、道路及び運河の建設により、または財貨の製造か運搬かにおける労働を節約する手段によっては、決して増加されない。これらのものは価格に作用を及ぼす原因ではあり、そして必ずや消費者に極めて有利なものである、けだしそれは彼らをして、同一の労働をもって、または同一の労働の生産物の価値をもって、それに改良が加えられた貨物のより[#「より」に傍点]大なる分量を交換して取得し得せしめるからである。しかしそれは利潤に対しては何らの影響も及ぼさない。他方において、労働の労賃のあらゆる減少は利潤を高めるが、しかし貨物の価格に対しては何らの影響をも生み出さない。一方はすべての階級にとり有利であるが、それはすべての階級は消費者であるからである。他方は生産者にとり有利であるのみである。彼らはより[#「より」に傍点]多く利得する、しかしあらゆる物は引続きその以前の価格にあるのである。第一の場合においては彼らは以前と同じものを得る、しかしそれに彼らの利得が費されるあらゆる物は、交換価値において減少しているのである。
(四七)一国における貨物の相対価値を左右すると同一の規則は、二つまたはそれ以上の国の間に交換される貨物の相対価値を左右しはしない。
完全な自由貿易の制度の下においては、各国は当然にその資本及び労働を各々にとり最も有利な職業に向ける。この個人的利益の追求は全体の普遍的幸福と驚嘆すべきほどに結びついている。勤労を刺戟し、器用さに報酬を与え、かつ自然の与える力を最も有効に使用することによって、それは最も有効にかつ最も経済的に労働を分配し、他方、生産物総量を増加することによって、それは一般的便益を公布し、そして利益と交通という一つの共通の紐帯によって、文明世界を通じて諸国民の普遍的社会を結成する。葡萄酒はフランス及びポルトガルにおいて造らるべく、穀物はアメリカ及びポウランドにおいて栽培さるべく、かつ金物その他の財貨は英国において製造せらるべきである、ということを決定する所のも
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