ュてもし彼れの利潤が、一八〇|磅《ポンド》、または彼れの元の資本に対し六%であるならば、利潤はその時には実際三%よりもより[#「より」に傍点]高い率[#「率」に傍点]にはないであろう。けだし、六、〇〇〇|磅《ポンド》に対する三%は一八〇|磅《ポンド》であるから。そしてかかる条件においてのみ六、〇〇〇|磅《ポンド》の貨幣をその懐中に有っている新農業者は農業に入り得るであろう。
 多くの事業は同じ源泉から多かれ少かれある利益を得るであろう。醸造業者、酒類蒸溜業者、毛織物業者、亜麻布製造業者は、粗生原料品及び精製原料品の貯財の価値騰貴によって、その利潤の減少を一部分償われるであろう。しかし、金物や宝石やその他多くの貨物の製造業者、並びにその資本が一様に貨幣から成る者は、何らの補償もなくして、利潤率の全下落を蒙るであろう。
 吾々はまた、土地に対する資本の蓄積と労賃の騰貴との結果、いかに資本の利潤率が減少しても、しかも利潤の総額は増加するであろうと、期待しなければならぬ。かくて、一〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》の蓄積が繰返されるたびに、利潤率は、二〇%から一九%に、一八%に、一七%にと、絶えず逓減する率で、下落すると仮定するならば、吾々は、かかる逐次の資本所有者が受取る利潤の全額は常に逓増して行き、すなわちそれは、資本が一〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》の時よりも二〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》の時の方がより[#「より」に傍点]大であり、三〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》の時は更により[#「より」に傍点]大である、等々、資本が増加するごとに、逓減的率においてではあるが、しかも増加して行くことと、期待しなければならぬ。しかしながら、この逓増は一定の期間だけ真実であるに過ぎぬ。かくて二〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》に対する一九%は、一〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》に対する一九%よりもより[#「より」に傍点]大である。しかし資本が多額にまで蓄積され、そして利潤が下落して後はより[#「より」に傍点]以上の蓄積は利潤の総額を減少する。かくて蓄積が一、〇〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》であり、そして利潤が七%であると仮定すれば、利潤の全量は七〇、〇〇〇|磅《ポンド》であろう。さてもし一〇〇、〇〇〇|磅《ポンド》の資本の附加がこの一百万に対してなされ、そして利潤が六%に下落するならば、資本の全額は一、〇〇〇、〇〇〇|磅《
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