クれかを余儀なくされるであろうし、また粗生生産物の価格における騰貴は、この地代またはこの附加数に比例するに過ぎぬものであって、従って労賃の騰貴に対して彼に償いをしないであろうからである。
もし製造業者及び農業者の両者が十名の人間を用いるとすれば、労賃が一人当り一年間二四|磅《ポンド》から二五|磅《ポンド》に騰貴する場合には、その各々によって支払われる全額は二四〇|磅《ポンド》ではなく二五〇|磅《ポンド》であろう。しかしながら、これが製造業者が同一分量の貨物を得るために支払うであろう所の附加の全部である。しかし新しい土地における農業者はおそらく、一名の附加的労働者を使用し、従って労賃として二五|磅《ポンド》の附加額を支払うを余儀なくされるであろう。そして旧い土地における農業者は地代として二五|磅《ポンド》という正確に同一の附加額の支払を余儀なくされるであろう。この附加的労働がなければ、穀物も騰貴しなかったであろうし、また地代も増加しなかったであろう。従って一方は労賃のためのみに二七五|磅《ポンド》を支払わなければならず、他方は労賃と地代との合計のためにこの額を支払わなければならないであろう。各々は製造業者よりも二五|磅《ポンド》だけより[#「より」に傍点]多く支払わなければならない。この後の二五|磅《ポンド》を、農業者は粗生生産物の価格の附加によって償われ、従って彼れの利潤はなお製造業者の利潤と一致する。この命題は重要であるから、私はなお更に、その説明に努めるであろう。
吾々は既に、社会の初期においては、土地生産物の価値[#「価値」に傍点]に対する地主及び労働者の両方の分前は僅少に過ぎないであろうし、かつそれは富の増進及び食物獲得の困難に比例して増加するであろうということを、証明した。吾々はまた、労働者の収得する価値は食物の高い価値によって増加されるであろうけれども、彼れの真実の分前は減少するであろうが、しかるに地主のそれは啻に価値において増加されるばかりでなく、更に分量においても増加されるであろう、ということを証明した。
地主及び労働者が支払を受けた後に残る土地の生産物の残りの分量は、必然的に農業者に帰属し、そして彼れの資本の利潤をなすものである。しかし、社会が進歩するにつれ全生産物に対する彼れの分前は減少するであろうけれども、しかもそれは価値において騰貴する
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