にして生徒に潜在する各自獨特の才能をできるだけ引き出して育て上げるやうに仕向けるといふ教育法が必要である.
以上の教育方法を行ふためには,教師は生徒に對する理解と洞察との目を持つてゐなくてはならぬ.そして生徒の能力と特質[#「特質」は底本では「得失」]とを見抜いて,それを適當な方向に向ける技術が要る.それは決して萬能の教師を意味することではなくで,人間を見る力とこれを教育させる技術とを心得てゐる教師を要求するのである.これを今日の教師に期待することは無理であつて,それがためには教師からして新しく養成しなくてはならぬ.その養成は今日直ぐ役に立たぬけれども,しかも直ちに始める必要がある.それと同時に,現在の教師の再教育といふことを行つて,不滿足ながら速急の間に合はせることも考へねばならぬであろう.
茲にもすぐ問題となるのは教師の待遇改善である.上述のやうな優良な教師を養成するには,それに必要な高い教育と優秀な人材とが必要であつて,今日のやうな待遇ではこれを得ることは不可能である.これも國家として解決すべき重要な問題である.
又科學教育に必要な設備の充實といふことも非常に大切である.實
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