に研究室を案内して貰ったが,小さいながら 10MeV に近いエネルギーの H2[#「2」は上付き小文字] を生ずるサイクロトロン,1MV の cascade の高壓加速裝置,高壓の Van de Graaff 裝置などがあり,研究も次第に軌道に乘って來たようであった.
 その晩アメリカの理論物理學者 Wheeler と會食する機會を得た.最近の仕事のことを話し,又廣島,長崎の原爆状況のこともいろいろと尋ねられるままに話をした.

 翌9月14日10時からデンマークの學士院會館で國際學術會議の總會が開かれた.
 國際學術會議は二つの目的を持っておる.その第1は第1種の會員であるユニオン(International Scientific Unions)の仕事を連絡調整し,かつこれを推進するという仕事,第2は第2種の會員である各國の代表的學術團體の科學的連絡調整を圖ることである.そのユニオンというのはいろいろの學術の專門分野における研究調査の國際的連絡調整及び推進をはかる機關であって,たとえば物理のほうの(1)International Union of Pure and Applied P
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