−3−29]是れ其動もすれば正径を誤るの盲動ある所以なり。
 されど彼は兎も角下院の名物なり※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ動けば、議場は一個の劇壇にして、彼れは宛然たる政治的俳優なり※[#白ゴマ、1−3−29]是れ彼れが名の海内に持て囃さるゝ所以に非ずや。(三十一年十月)

     口碑上の豪傑

 ※[#丸中黒、1−3−26]凡そ豪傑には二種の別がある。第一種は一国又は世界の問題の提出者ともなり、実行者ともなり若くは其の批評者ともなつて、其の言動が歴史上の或る部分を作る人物である。第二種は、其の事業よりいへば歴史に関係するほどの幅も厚さもないが、然しながら異常の個人性があつて、後世永く人口に膾炙する人物である。前者は之れを称して歴史的豪傑といふべく、後者は口碑的豪傑とでもいふであらうか。
 ※[#丸中黒、1−3−26]伊藤侯だとか、大隈伯だとか、東郷大将だとかいふ人物は、所謂る歴史的豪傑であつて、田中正造翁などは口碑的豪傑である。
 ※[#丸中黒、1−3−26]日本には口碑的豪傑が極めて多い。単に徳川時代のみに就ていふも、大久保彦左衛門、佐倉宗五郎、幡随院長兵衛、荒木又右衛門なん
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