を信ずるもの甚だ少なくして、寧ろ彼れを粗豪の一木強漢と思ふもの多かりき。
顧ふに彼れが見掛によらぬ学者たるは、今や漸く多数の認識するの所となれりと雖も、其言動の毫も学者らしからざるは他なし、彼れは主我的意思を以て総べての問題を解釈し、我れに利なれば理窟を言ひ、我れに不利なれば無理をも言ふの傾向あればなり※[#白ゴマ、1−3−29]其放胆不諱、剛愎不遜の人に過ぐる所以のものは、亦豈主我的意思の最も発達したるが為に非ずや、故に室内の人物としては、彼は真理を研究するの読書家たりと雖も、彼れの戸外に於ける言動は、唯だ是れ一個主我的意思の強固なる人物を体現するのみ。
彼の去就は単純なり
今や彼は一般の想像するが如き大運動なく、其挙動は頗る平和にして、僅に新聞記者を相手として無意義の評論を試みつゝあるのみ※[#白ゴマ、1−3−29]知らず彼は何の考案を有し、何の抱負を今後に行はむとする乎。吾人は妄りに彼れの心事を揣摩せざる可し※[#白ゴマ、1−3−29]されど吾人は一個の見地に依りて彼れの位地を観察するの自由を有す※[#白ゴマ、1−3−29]此見地は彼れの未来に関せずして、彼れの
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