ずとせむや※[#白ゴマ、1−3−29]而も彼は多く理窟を語らずして、反つて人の理窟を喋々するを笑ふ※[#白ゴマ、1−3−29]是れ所謂る知つて言はざる大智者を学ぶに在る乎※[#白ゴマ、1−3−29]将た彼は議論よりも実行を主とするを以て平生の務とするに由る乎。
 彼れ往時英国の某大学に在て法律を修む※[#白ゴマ、1−3−29]偶々試験あり、教授課するに『英国憲法の真相』といふの論題を以てす※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ秒時に立案して、之れを教授に示す※[#白ゴマ、1−3−29]其文唯だ『英国憲法は世界無比の良憲法なり』との一句を記するのみ※[#白ゴマ、1−3−29]教授呆然、其余りの無意義なるに驚き、之れを彼れに詰る※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ曰く、先生の英国憲法を説く千言万語の多きを以てすと雖、其要点は則ち此一句に外ならず※[#白ゴマ、1−3−29]何ぞ別に詳述するを須いむやと※[#白ゴマ、1−3−29]是れ一場の逸話に過ぎざるも、彼れの政治論は大抵此試験答案の如く、曾て煩瑣なる理窟を捏ねずして、唯だ疎枝大葉の議論を為す※[#白ゴマ、1−3−29]此を以て世間曾て彼れの学問ある
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