るものありとの名誉は伯の身辺に纏ひ、百年の後、伯や国民の瞻仰する所と為り、千歳の下青史の上、模範政治家たらむことを望むの私情は胸襟の間に往来する所たり。篤麿が私交の上に於て伊藤博文伯に対するの情実に師父に対するの情に劣らざるものありて存す、豈一毫の怨恨あらむや。(中略)然れども篤麿が私情に於て伊藤博文伯に繋けたる所の希望は、全く水泡に属したり。今や篤麿は私情を去て公義に依り、旧来の情誼を棄てゝ、断然伊藤内閣反対の側に立ち、公然其の非を鳴らさゞるを得ざるの場合に至れり。国家の為に私情を割く、篤麿不敏と雖も已むべきに非るを知ればなりと。情理并び到れるの辞なりと謂ふべし。
近衛公は私情を忍ぶに於て実に強固なる意思を有したる人なりき。而も其の意思や、公義の発動より出でて、一点の野心を雑へず、所謂る公闘に強くして私闘に弱きの類乎。嗟乎公や逝く、公の後継者たるべき人物は果して有りや無しや。(三十七年二月)
星亨
星亨
彼は政界の未知数なり
星亨氏は曾て不人望を以て高名なりき※[#白ゴマ、1−3−29]個人としては彼れを味方とするものも、公人としては反つて彼れを
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