、則ち現内閣の言動に反対し、死活を争ひたる諸代議士の再選を勉めざる可からず。我愛国忠君の赤誠に富める国民にして、再三再四同一の方針を取りて動かず、同一主義の代議士を議会に送らば、輿論の光輝は、当に天※[#「門<昏」、第3水準1−93−52]に達するの期遠きにあらざるべし。国民たるもの赤誠を以て其の歩を進めざるべからず。篤麿駑たりと雖も、与に共に勇奮以て諸士の同伴侶たらむと欲す。諸士請ふ手を携へて往かむ哉と。此の時に当り、伊藤内閣の公等一派を憎むこと絶頂に達し、同族中公の言動を議するもの亦少なからざりしに拘らず、公は能く私情に忍びて公義に殉ずるの態度を維持したりき。
 公は曾て独逸に留学して、頗るスタインの国家主義に私淑する所多しと雖も、其の立憲政治に関する思想の傾向は、大体に於て英国的なり。故に初期議会以来常に藩閥内閣に反対して政党内閣の本義を主張したりき。然れども公の政党内閣論は、夫の政権争奪を目的とせる党派政治家と大に其の見地を異にせり。公の政党内閣を主張するは、之を措て憲政の運用を円滑ならしむるの道なしと信ずるが為めのみ。故に徒らに政権の争奪を事とする政党は、公の断じて与みせざる
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