の存する所を諒とす可し。
 さりながら実際の腐敗は独り貴族及び貴族院に止らず、近来政党及び衆議院の腐敗は寧ろ是れに過ぎたり※[#白ゴマ、1−3−29]見よ衆議院は曾て貴族院が藩閥に盲従するの賤劣を嘲笑したりしも、今や衆議院に於ては、おの/\の政党互ひに政府に盲従せんことを競ふて、貴族院よりも一層賤劣なる行動を表明するに非ずや※[#白ゴマ、1−3−29]猟官に非ずんば賄賂の授受を目的とし、国家の立法機関を以て利益交換の市場と為し、代議士の公職を利用し、政党の佳名を藉りて営利の私計を事とし、靦然として耻づるなきは、豈衆議院の近状に非ずや。而して政府も亦衆議院の腐敗に乗じて盛に買収政略を行ひ、朝野相習ひて相怪まざるのみならず、反つて之れを怪むものを指笑して、政治の趣味を了解せざるものとするの時代とはなりぬ。
 腐敗の事実は敢て今日に発したるに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]さりながら近衛公は未だ横浜埋立事件の如く驚く可き奇観をば目撃せざりき※[#白ゴマ、1−3−29]此事件は啻に政党の腐敗を事実上に表示したる最好の証拠たるのみならず、直に是れ憲法政治の危機を表示したる一大悪兆なり※[#白ゴマ
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