9]則ち誰れか此小児が大人を統御し得るの器を具へたるを知るものあらむや※[#白ゴマ、1−3−29]此を以て時の貴族院議長伊藤博文が、偶々故ありて自ら事を観る能はざるに際し、彼れを仮議長として指名するや、満場皆其意外に驚かざる莫く、中には冷笑を以て彼れを迎へたるものありしと雖も、彼は何の遅疑する所なくして議長の椅子に就きたり※[#白ゴマ、1−3−29]満場は再び意外の感に打たれたりき※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば彼れの安詳沈着たる態度明敏果断なる処置は、自然に議長たるの伎倆を示したればなり。
松方内閣成るや、彼は遂に議長に勅選せられて第十議会に膺りたりき※[#白ゴマ、1−3−29]彼れが議長としての伎倆は益々世間に認識せられたりき※[#白ゴマ、1−3−29]彼れの政敵は彼れを呼で圧制議長といひ、彼れの政友は亦彼れが余りに公平なるを喜ばざりしと雖も、其善く議場を整理し、善く討論を指導したるに至ては、恐くは帝国議会あつてより、貴族院第一流の議長ならむ、統御の器あるに非ずして何ぞや。
忠忱の人
彼れは久しく貴族院に於ける硬派の首領たり※[#白ゴマ、1−3−29]第一期
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