の相献酬するや又唯だ詐術を是れ事として曾て利害存亡を倶にするの誠実あることなし、是れを以て閣下は単に議院政略に苦心して内治外交に対する経綸を考慮するに遑あらず、其の一たび重大なる時局に際会するに及べば、常に姑息の手段に依りて内閣一日の安を謀らむとせり、是れ果して鞏固なる内閣なりと謂ふを得可き乎。

      ※[#始め二重括弧、1−2−54]二十九※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 山県相公閣下、若し夫れ閣下にして自由党の強迫に屈して内閣の椅子を自由党に割譲せむか、是れに依りて一時或は自由党の反抗を禦ぎ得可しと雖も、是れと同時に内閣の基礎は反つて益々動揺の度を高むるを如何せむや、蓋し閣下は単に自由党と提携してすら、尚ほ且つ動もすれば属僚の不平、及び自由帝国両党間の嫉妬軋轢の為に屡々悩殺せられたり、一旦自由党員を内閣に入れて之れに政権を分与せば、自由党は勢に乗じて更に其の権力範囲を拡張せむとし、属僚及び帝国党は自己の位地を嬰守せむとして種々の隠謀を企てむ、其の結果として内治外交の機関益々停滞して内閣の威信愈々降らむ、是れ豈閣下の前途をして一層暗黒ならしむる所以に非ずや、且つ閣下は曾
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