らば自由党より閣員を抜くも可なれど、党員としてならば入閣の要求に応じ難しといひたりしを見れば、閣下の意亦超然内閣の本領を以て立つに在りしを知る可し、且閣下が当時自由党領袖等と屡々提携に関する交渉を試みつゝある間に、板垣伯は公然自由党員に向て、何種の内閣を問はず善政を行へば之を援くるに躊躇す可からずと演説して、有りの儘に閣下の内閣が超然内閣たることを承認したりき、而も自由党の多数は、閣下の内閣をして超然内閣の装姿を脱せしむるの冀望ありしが為めに、斯る意義に於ける提携の交渉は一旦破裂に帰したりしに拘はらず、閣下と自由党とは更に瞹眛なる交渉を経由して、終に怪しき提携を約したり、此の提携の結果として閣下の内閣は純然たる超然内閣にも非ず、又政党を基礎とするの内閣にも非ざる一種の間色内閣と為りたるに於て、閣下と自由党との関係は、随つて唯だ政略的関係若くは利益的関係たるに止まり、曾て主義政見の契点に依りて渾然融和したる事実を示すこと能はざるに至れり、是れ閣下が政治上の過失を犯したる最初の起点に非ずして何ぞや。
※[#始め二重括弧、1−2−54]十七※[#終わり二重括弧、1−2−55]
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