も閣下は断じて此の事実を認めずといふを得ざるものたるに拘らず、閣下の内閣は、亦唯だ与党に圧迫せられて地方官の乱憲的行為を制する能ざりしに非ずや、其他最近の事実に現はれたるもの、一として行政体統の膿壊と閣下の無能力とを表示するものたるは、我輩の甚だ閣下の為めに悲む所なり。
聞く閣下は街鉄市有の意見を有する人なりと、其意見の当否は暫らく措くも、内務次官たる小松原氏が擅まに一派の政商と結托して職権を乱用したる罪案を決する能はず、以て頗る内閣の威信を軽からしめたるは、断じて閣下の失体なりと謂はざる可からず、宗教法案に関しては、閣下初めより一定の成算を有せず偏へに斯波社寺局長平田法制局長等の献策を聴きて生硬未熟の法案を提出し、而も往々地方官をして各地信徒の運動を妨害せしめ、若くは行政権を借て東本願寺に干渉したる如きは、亦閣下の失体ならずと謂ふを得ず、凡そ事斯くの如きは恐らくは閣下の本意に非る可し閣下は常に官紀振粛行政統一を以て自ら標榜するの人たればなり、さりながら閣下内閣を組織してより、曾て官紀振粛行政統一の実を挙ぐることなく、動もすれば与党の専横と属僚の跋扈との為に、内閣の威信と行政機関の紊
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