伊藤侯に背くも山県侯に背く能はず※[#白ゴマ、1−3−29]青木周蔵子の傲岸不遜は、伊藤侯にも井上伯にも忌まるれど、独り山県侯は善く之れを容れ、第一次の内閣にも外務大臣の椅子を与へ、今の第二次内閣にも又子を外務大臣と為す※[#白ゴマ、1−3−29]故に子は深く侯を徳として其腹心なるを甘むず。児玉台湾総督は、伊藤内閣の時代に用いられたる人なれども、其系統をいへば山県派に属し、前々警視総監たりし園田安賢男及び現警視総監大浦兼武氏は、長化したる薩人を以て目せられ、共に山県侯の幕下たり、園田男は曾て伊藤侯にも信任せられたる人なれども、大隈内閣の成立せる当時より、遽かに伊藤侯の政見を非として純然たる山県崇拝家と為れり※[#白ゴマ、1−3−29]会計検査院長渡辺昇子は世人之れを伊藤系統の人なりといへども、其思想感情は寧ろ山県侯に近かく、検査官中の老功中山寛六郎氏は、今や満身錆※[#「金+肅」、第3水準1−93−39]の廃刄なれども、一時は属僚中の尤たりしが、氏も亦山県侯に恩顧ある人なり※[#白ゴマ、1−3−29]現宮内大臣田中光顕子は土佐出身なれども、其精神は夙に之れを山県侯に捧げたる人なり※[#
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