放たず、容易に動かずして、出でても身を保つを思ひ、処りても身を保つを思ふ※[#白ゴマ、1−3−29]而して人は終に彼れの智術を知らざるなり。
 彼は最も失敗を恐る※[#白ゴマ、1−3−29]失敗を恐るゝは名を惜む所以にして、名を惜むは身を保つ所以なり※[#白ゴマ、1−3−29]故に彼は隠忍慎密先づ自ら布置せずして他の石を下すを待つの碁法を用ゆ※[#白ゴマ、1−3−29]是れ伊藤春畝先生と雖も未だ悟入せざるの奇法にして、流石に滑脱なる先生も、其出処進退の巧みなるに至ては遠く彼に及ばざるもの洵に此れが為なり※[#白ゴマ、1−3−29]余は彼が未来の運命を予言し得るものに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば政界今後の未来は容易に予言し得るものならざればなり※[#白ゴマ、1−3−29]若し万々一大隈をして失敗を再びせしめ、国民派をして其の理想を実行せしむる不思議の政変あらば、固より山県時代を見るに至らずと謂はず※[#白ゴマ、1−3−29]然れども斯くの如くして成りたる内閣は能く政治上の進歩と両立し得る乎※[#白ゴマ、1−3−29]自由党に反対せられ、進歩党に背かれて能く幾何日月を維持し得
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