会なり。左側に起立し、頻りに手を揮つて何事か発言しつゝあるの状を為せる鬚武者の男は、有名なるガムベツタ[#「ガムベツタ」に傍線]なり。彼れは急進過激党の首領として、断然共和政府を建設す可しと主張し、当時盛むに国民議会の議場に暴ばれたりき。中央の椅子に坐を占め、群衆に取り囲まれて沈思黙考しつゝあるは、穏和党の首領チエール[#「チエール」に傍線]なり。彼れは共和政府建設論に対して、猶予決する能はざるが為に、急激党の難詰を受けつゝあるなり。
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彼れは更に他の一額に向へり。是れ伊太利統一後始めて開きたる伊太利議会の写真なりき。彼れの持てる扇子は、起立せる異装の一漢子に触れたり。彼れは曰く、
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見よ、破れたる軍帽を冠むり、長がき外套を着し、一人の従者を伴ふて議場の片隅に起てる質朴漢は、是れ議会の光景を見むとて来れるガリバルヂー[#「ガリバルヂー」に傍線]なり。
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彼れは曾て日本のガリバルヂー[#「ガリバルヂー」に傍線]を以て称せられたりき。其の多感にして侠熱ある、夫れ或はガリバルヂー[#「ガリバルヂー」に傍線]に私淑する所ある
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