を控制するの術数を施したるは、亦歴々として認む可きものあり※[#白ゴマ、1−3−29]試みに其一二を言はむか。
侯は明治十四年、大隈伯と相約して、十六年を以て国会開設の議を奏請せむとしたりき※[#白ゴマ、1−3−29]是れ国会に依りて藩閥を控制するの意より出でたるに非りし歟※[#白ゴマ、1−3−29]其計画未だ成らざるに破れて、藩閥の為めに謀叛を以て擬せらるゝに及び、侯は翻然として其計画を中止し、独り大隈伯をして之れが犠牲と為らしめたるは他なし、是れ唯だ成敗の勢を悟りて、急遽の改革を不利と認めたるに由るのみ※[#白ゴマ、1−3−29]藩閥を維持するの必要を信じたるが為に非ず。尋で明治十八年官制を改革して、文治組織と為し、官吏登庸法を制定して、選叙を厳にしたる如き皆主として藩閥を控制するの意より出でずむんばあらじ※[#白ゴマ、1−3−29]世間或は侯が総理大臣を以て宮内大臣を兼摂したる当時の位地を評して曰く、是れ侯が信用を宮中に固めて、自家の権勢を保全するの秘策なりと※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ然り然りと雖も、此秘策は国民に対して圧制政治を行ふの準備に非ずして、亦実に藩閥を控制する
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