にして改革の意あらば、総理の廃立よりも其の政策の上に一生面を開くの挙あるを急務とせむ。
然れども大隈伯は漸く老ひたり。其の党務に堪ゆるの健康は今後久しきに保つ可からず、若し伯にして進歩党の永久なる繁栄を望むに於ては、一日も早く適当なる相続者を発見するの必要あるべきは無論なり。苟も適当なる相続者を発見するに於ては、伯亦必らず自ら喜で総理の位地を退かむ。唯だ今日未だ伯の相続者として耻しからざる首領的人物を発見する能はざるのみ。是れ党員の苦悩煩悶する所たるのみならず、又総理大隈伯の苦悩煩悶する所たるべし。(三十九年五月)
党首を辞したる大隈伯
一月第三日曜日に開きたる憲政本党大会は、総理大隈伯の思ひ掛なき告別演説を以て、沈痛無量なる光景の間に閉ぢられたりき。伯は予告なくして突然辞職の述懐を為したるがゆゑに、内心伯の退隠を希望し居たる儕輩も、事の意表に出でたるに錯駭して、頗る挙措を失したるものゝ如し。顧ふに伯が辞職を申出でたる所以は、単に一身上の自由を欲すといふに過ぎずして、他に特別の理由あるを認めざるも、深く其の語る所を玩味せば、今日伯をして自ら辞意を表明するに至らしめたる
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