だ胃腑の問題のみ、財嚢問題のみ※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ星氏の如きは即ち此問題の解釈者として一種の伎倆を有する英雄なり※[#白ゴマ、1−3−29]彼れなくむば自由党は殆ど亡びむ※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは自由党の純代表者にして、又其司命者なり、自由党は果して彼れに背き得可き乎。(三十二年十一月)

   田中正造

     田中正造氏

      下院の名物
 年々開会する帝国議会の下院に於て、常に奇異なる風采言動を以て、無限の興味を傍聴者に与ふる一人物あり。其山猫の人化したる的の面既に甚だ愛嬌津々たるのみならず、其選挙区民より贈与せられたりといへる五所紋付黒木綿の羽織を着用して、古武士の純朴を存する所亦頗る異彩あり、彼は誰れぞ、下院第一等の名物田中正造氏其人なり。
 彼は多くの場合に於て極めて沈黙なりと雖も、是れ唯だ眠れる獅子の沈黙のみ、其勃然として一たび自席を起つや口を開けば悪罵百出、瞋目戟手と相応じて、猛気殆ど当る可からず、曾て原敬氏を罵つて国賊と為すや、叱※[#「口+它」、第3水準1−14−88]咆哮、奮躍趺宕、恰も狂するものゝ如く、人をして全身の血管悉く破裂せざるかを疑はしめたりき※[#白ゴマ、1−3−29]当時某代議士は彼れが感情の満潮に達するを観て其或は気絶せんことを恐れ、窃かに介抱の準備を為したりと語りしほどなれば、其言動の激烈なりしこと以て想見す可し※[#白ゴマ、1−3−29]而も世間彼れの疎狂を咎めずして、反つて彼れに同情を寄与するもの多きは何ぞや。
 顧ふに彼れがあらゆる悪口雑言を濫用して、往々議場の神聖を汚がすの失体あるは、固より君子の与みせざる所なるべし※[#白ゴマ、1−3−29]余は此点に於て彼を弁護するの理由を有せずと雖も、若し夫れ形式礼法を以て人物の価値を律せば、今日誰か能く多少の指摘を免かれ得るものありとするぞ※[#白ゴマ、1−3−29]彼は大疵あれども亦大醇あり、大欠陥あれども亦大美質あり※[#白ゴマ、1−3−29]豈杓子定規を以て彼を酷論す可けむや。
 礼法を無視して悪口雑言を濫用するは、確かに彼れの大疵なり、粗暴矯激にして軌道を逸脱するの亡状は、亦固より彼れの大欠陥なり※[#白ゴマ、1−3−29]されど是れ特に彼れの大欠陥に非ずして、下院全体の大欠陥なり※[#白ゴマ、1−3−29]彼は唯だ其最も著明なる代表者た
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