れ寧ろ大隈伯の特絶にして、其の一たび佳境に到れば、眉目軒昂英氣颯爽として滿座皆動く※[#白ゴマ、1−3−29]故に大隈伯の雄辯は對話[#「對話」に白丸傍点]に適し、伊藤侯の雄辯は公會[#「公會」に白丸傍点]に利あり。
 才を愛し士を好むに於て、伊藤侯と大隈伯とは共に他の元勳諸公に過ぐ※[#白ゴマ、1−3−29]故に其の門下生に富むも亦實に當代に冠たり※[#白ゴマ、1−3−29]然れども伊藤侯の愛好するものは、柔順御し易きの徒[#「柔順御し易きの徒」に白丸傍点]に非むば巧慧※[#「にんべん+鐶のつくり」、3−下−27]薄[#「巧慧※[#「にんべん+鐶のつくり」、3−下−27]薄」に白丸傍点]の輩多し※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯は然らず、伯は唯だ人を智に取りて其の清濁を論ぜず[#「智に取りて其の清濁を論ぜず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]故に愚者を近けざるの外一藝一能あるものは勉めて之れを容れんとす※[#白ゴマ、1−3−29]量に於ては大隈伯確かに伊藤侯の上に出るを見る※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し伊藤侯は勉めて他の信服を求むと雖も[#「伊藤侯は勉めて他の信服を求むと雖も
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