藤侯は大隈伯の如く未來の問題を語ること少なく[#「伊藤侯は大隈伯の如く未來の問題を語ること少なく」に傍点]、其語るや大抵過去帳の展讀のみ[#「其語るや大抵過去帳の展讀のみ」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]故に其言質を作ること稀れなる代りに[#「故に其言質を作ること稀れなる代りに」に傍点]、其發表せる意見は[#「其發表せる意見は」に傍点]、國民の記憶を喚び起すの力あれども[#「國民の記憶を喚び起すの力あれども」に傍点]、國民を指導するの生命あるもの甚だ希れなり[#「國民を指導するの生命あるもの甚だ希れなり」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]是れ亦黨首として大隈伯に及ばざり所以なり[#「是れ亦黨首として大隈伯に及ばざり所以なり」に傍点]。
 之を要するに、伊藤侯は政治家としては當今第一流の人物なれども、黨首としては大隈伯の對手に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]然るに憲政黨は侯を誘ふて黨首の位地に立たしめむとす※[#白ゴマ、1−3−29]是れ果して憲政黨の利益なる乎※[#白ゴマ、1−3−29]侯にして若し憲政黨に入らば[#「侯にして若し憲政黨に入らば」に白丸傍点]、憲政黨は其組織を一變
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