るとかいふことは、能者のすることで、河野のやうな性格の人には出來ぬ藝だ。利害を離れ[#「利害を離れ」に白丸傍点]、政略を離れて[#「政略を離れて」に白丸傍点]、唯だ一個河野といふ人格の自我を發揮する時でなくては[#「唯だ一個河野といふ人格の自我を發揮する時でなくては」に白丸傍点]、彼れの本領が見えぬのである[#「彼れの本領が見えぬのである」に白丸傍点]。
△トコロが當世は小刀細工の流行する時節であるから、河野の自我が發揮された奉答文事件を認めて、誰れか背後に黒幕が隱くれて河野を操つたのだと推測するものがある。誠に河野の爲に氣の毒の感に堪へない。特にニコチン中毒の説を流布して、河野と煙草屋との間に何か秘密でも在るかのやうに言ひ做すに至つては、餘り酷どい穿ち樣であると考へる。ソンな河野なら、今のやうな貧乏はして居ない。
△政府に買收されたといふのも黨派根性から割り出した推測で、愚にも附かない話ぢや。マー河野よりも政府の都合を考へて見給へ、解散の結果は、前年度の豫算を執行することゝなるのだ。第十七議會は解散で三十六年度の豫算が不成立となつて居るのだから[#「第十七議會は解散で三十六年度の
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