廷の大禮、若くは官務的性質を帶びたる會合以外に出席すること甚だ稀なり、單に社交を目的とする普通の公會に周旋して、八面酬接の交渉を事とするは、彼れの性向に適せざる所なるべし。時として椿山莊園遊會を見ることあるも、是れ大切なる外國の貴賓に敬意を表する場合か否らずむば一家の賀儀を機會として少數の親近者を招待する場合に行はるゝのみ。彼は政治家として國民の輿論に拘束せらるゝを避くるとともに[#「彼は政治家として國民の輿論に拘束せらるゝを避くるとともに」に白丸傍点]、其の私生涯に於ても亦公衆の心理に煩はさるゝを免かれむと欲するものゝ如く[#「其の私生涯に於ても亦公衆の心理に煩はさるゝを免かれむと欲するものゝ如く」に白丸傍点]、則ち其の庭内境靜かにして風塵到らざる處に安置したる彼れの銅像は[#「則ち其の庭内境靜かにして風塵到らざる處に安置したる彼れの銅像は」に白丸傍点]、無言の間に善く活ける主人公の理想を語る者に非ずして何ぞや[#「無言の間に善く活ける主人公の理想を語る者に非ずして何ぞや」に白丸傍点]。されば彼の私生涯は、豪華の以て世に誇るべき者なく、盛裝の以て人を驚かすべきものなく、彼れの位地より
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