するに及で、忽ち其前日の主張を抛棄し少なくとも其の持説を變更して一二の政黨と提携したるのみならず、嚮に閣下の屬僚等が不忠不臣の賊子とまで痛罵したる伊藤侯に對して、今日唯だ其の款心を失はむことを是れ恐れ、大小の事總て侯の意見に聽きて僅に辨ずるを得るが如きの状あるは何ぞや、我輩を以て閣下を觀れば閣下は元來氣むづかしき神經質の人物なれども[#「我輩を以て閣下を觀れば閣下は元來氣むづかしき神經質の人物なれども」に白丸傍点]、實は決して強固なる意思を有する武斷家に非ず[#「實は決して強固なる意思を有する武斷家に非ず」に白丸傍点]、其の權勢を喜び名爵を好むの天性或は人に過ぐるものあらむ[#「其の權勢を喜び名爵を好むの天性或は人に過ぐるものあらむ」に白丸傍点]、而も閣下は政治家として別に卓然自ら立つ所の見地なく[#「而も閣下は政治家として別に卓然自ら立つ所の見地なく」に白丸傍点]、有體にいへば唯だ臺閣の氣象に富める一種の貴人たるに過ぎず[#「有體にいへば唯だ臺閣の氣象に富める一種の貴人たるに過ぎず」に白丸傍点]、是れ政府を世界とせる屬僚の盟主たるには最も適當なる人格にして[#「是れ政府を世界とせる屬
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