自己の手腕を以て自己の天地を開拓したるに於ては則ち一なり。而も兩伯の出處進退には[#「而も兩伯の出處進退には」に白三角傍点]、自ら兩樣の意匠ありて好個の對照を爲せり[#「自ら兩樣の意匠ありて好個の對照を爲せり」に白三角傍点]。大隈伯の出處進退を見るものは、先づ其の公生涯の前半期に於て、伯が内より政治を改革せしむとして全力を之れに用ひ、其の志の行はれ難きを悟るに及び、更に政治改革の手段を變じて、國民的運動の指導に其の後半期を費やしたるを認むべく、陸奧伯の出處進退を見るものは、伯が初め屡々外より政治改革の氣運を促がさむとして成らず、一朝心機轉換するや、自ら進むで政府の使用人となり、其の權變の才を竭くして内より藩閥を控制せむとしたるを認むべし。是を以て兩伯は終始殆ど反對の側面に立てり。
 大隈伯は藩閥の後援を有せずと雖も、維新の文勳は毫も藩閥者流の武勳に讓らざりしが故に、明治初年に於て既に樞要の位地を占め、藩閥をして勢ひ伯の勢力を敬重せざるを得ざらしめたりき。伯は急激なる民選議院建白者に誘はるゝには[#「伯は急激なる民選議院建白者に誘はるゝには」に白丸傍点]、其の思想餘りに秩序的にして且つ實
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