たると共に、民間に於ても固より多數の反對黨に依て圍繞せらる。而も其統率せる政黨は、未だ議會の過半數をも占むる能はざるを以て、此の點よりいへば、伯を稱して人民の代表者と爲すべからざるに似たり。唯だ伯の最近生涯に於て現はれたる行動は[#「唯だ伯の最近生涯に於て現はれたる行動は」に傍点]、次第に政黨首領たるの範圍を脱して[#「次第に政黨首領たるの範圍を脱して」に傍点]、寧ろ人民の代表者たる位地に接近せむとするの傾向あるを知るざる可からず[#「寧ろ人民の代表者たる位地に接近せむとするの傾向あるを知るざる可からず」に傍点]。
顧ふに政黨の信用未だ高からざる日本の如き國に在ては、政黨の首領たるものゝ社會的境遇は、頗る窮屈にして自由ならざるものなり。彼れは政權爭奪の外、何等の目的を有せずと認めらるゝがゆゑに、政治上の關係なき社會の各階級は、動もすれば彼れと相觸著せむことを避くるのみならず、彼れ自身も亦自然に之れと相隔離せざるを得ざるに至る。板垣伯の如き即ち其一人なり。自由黨の全盛時代に於ては、板垣伯といへば恰も日本人民の崇拜せる自由の化身の如く見えたれども、其の一旦黨籍を去りて在野の一個人となるや
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