ては寧ろ牛刀割※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]の感あらむ。然れども余は侯に望むに佛國流の殖民政治家を以てせずして、虚名を棄てゝ實績を收めたるクローマーを以てせむとするが故に、侯が韓國統治者としての事業は、更に大に將來に規畫する所多かるべきを思ふ。協約の締結は僅に保護事業の豫備たらむのみ。(四十年九月)

     立憲史上の伊藤公

 伊藤公は新日本の建設者として、總ての史的事業に關係し、且つ他の何人よりも大猷參畫の功勞多き人なり。若し公の働らきたる部分の一つにても、完全に仕遂ぐるものあらば、彼は亦明治時代の一名士たる價値を得るに足るべし。公の政治生涯は多面にして而も面々華麗なり。燦然として悉く人目を集むるものにあらざるはなし。凡そ政治家の功名心を飽かすべき最好の機會は、殆ど一として公の手に觸れざることなく、是れと同時に其の政略及び行動は時として物議の中心たることありと雖も、終始善く皇上の御信任を全うして頭等元勳の待遇を受けたり。後世より公を見ば恐らくは維新の三傑よりも一層偉大なる人物なりと信ぜらるべし。
 然れども公が新日本建設者の一人として優勝特絶の地歩を占むる所以は[#
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