屡々勅諭を下して之れを誡めたるに、久しければ輙ち懈弛して秩序を紊るの失態を見ると。知らず皇帝は曾て宮中肅清を誡めたることあるか[#「知らず皇帝は曾て宮中肅清を誡めたることあるか」に白三角傍点]。
此の間に於ける伊藤侯の措置は實に迅雷疾風の如くなりき。韓國の上下震慴して、殆ど其の爲す所を知らざるの状想ふ可し。侯の初めに綏撫手段を採りたるもの、今や一轉して壓威手段を執るの止むを得ざるに至れり。斯くの如く侯が前後全く別人に似たるの擧に出でたるは、以て侯の決心の頗る固きものあるを知るべく、侯若し此の機會に於て韓國皇帝の人格を研究せば、其の發明する所亦必らず多からん。顧ふに宮中肅清の事たる、從來日本政府が施政の改善を助言する毎に、先づ第一に之れを勸むるを例とせり。然れども皇帝自ら正うせずして宮廷の正しかるべきやうなく[#「然れども皇帝自ら正うせずして宮廷の正しかるべきやうなく」に白丸傍点]、特に韓國皇帝は最も夜の趣味に感ずること深きがゆゑに[#「特に韓國皇帝は最も夜の趣味に感ずること深きがゆゑに」に白丸傍点]、魑魅魍魎は時を得顏に君側を徘徊して毒焔を煽ぐに於て[#「魑魅魍魎は時を得顏に君側を徘
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