然の自白なり[#「實は自己の眞價を語りたる自然の自白なり」に二重丸傍点]。
されど不思議なるは侯の位地なり[#「されど不思議なるは侯の位地なり」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]現時の難局は[#「現時の難局は」に傍点]、有力なる政治家の擧げて手を燒きたる所なるに[#「有力なる政治家の擧げて手を燒きたる所なるに」に傍点]、侯は所謂る一介の武辨を以て之に當らむとし[#「侯は所謂る一介の武辨を以て之に當らむとし」に傍点]、自ら椿山莊を出でて第二次の山縣内閣を建設す[#「自ら椿山莊を出でて第二次の山縣内閣を建設す」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]顧るに第一次の山縣内閣は、伊藤大隈の連敗の後を受けて起り、今や第二次の山縣内閣も亦伊藤大隈連敗の後に出でたり※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ伊藤大隈は當世の二大政治家にして、之れを山縣侯に比すれば、政治に於て一日の長あること何人も疑はざる所なり※[#白ゴマ、1−3−29]而も侯は前後共に此二大政治家の持て餘ましたる難局に當りて敢て怪まざるは奇なりと謂ふべし[#「而も侯は前後共に此二大政治家の持て餘ましたる難局に當りて敢て怪まざるは奇なりと謂ふべし」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]進歩派の領袖大石正巳氏の如きは、侯の内閣を冷笑して、鎧袖一たび觸るれば忽ち倒る可しと[#「鎧袖一たび觸るれば忽ち倒る可しと」に傍点]いひたれども、啻に倒れざるのみならず[#「啻に倒れざるのみならず」に白丸傍点]、反つて之れを助くる[#「反つて之れを助くる」に白丸傍点]もの朝野に少なからざるは何ぞや[#「もの朝野に少なからざるは何ぞや」に二重丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し侯は政治上の顯勢力を有せずと雖も[#「蓋し侯は政治上の顯勢力を有せずと雖も」に二重丸傍点]、尚ほ一種の潛勢力を有すればなり[#「尚ほ一種の潛勢力を有すればなり」に二重丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]侯の現在の位地を知らむとするものは[#「侯の現在の位地を知らむとするものは」に二重丸傍点]、先づ此潛勢力を觀察せざる可からず[#「先づ此潛勢力を觀察せざる可からず」に二重丸傍点]。
品川子は、侯及び伊藤井上の三老を崇拜して長州の三尊と稱す※[#白ゴマ、1−3−29]若し子に向て三尊中の第一座たる人を指名せよと求めば、子は必ず山縣侯を指名せむ。是れ侯は三尊中最も大なる潛勢力を有する人たればなり[#「是れ侯は三尊中最も大なる潛勢力を有する人たればなり」に白丸傍点]。伊藤侯は潛勢力なきに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]されど其現在の位地は寧ろ孤立なり[#「されど其現在の位地は寧ろ孤立なり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]一見すれば其名望甚だ廣大なる如くなれども、實は漠然として定形なき名望のみ[#「實は漠然として定形なき名望のみ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]侯と利害休戚を同うするものは、伊東巳代治、末松謙澄、金子堅太郎の二三あるに過ぎずして、其領分は頗る狹隘なるものなり※[#白ゴマ、1−3−29]井上伯に至ては、殆ど純然たる政友を有せず、其有する所のものは[#「其有する所のものは」に白丸傍点]、山縣侯の系統に屬する人物にして[#「山縣侯の系統に屬する人物にして」に白丸傍点]、伯に專屬するものにはあらじ[#「伯に專屬するものにはあらじ」に白丸傍点]。例へば都筑馨六[#「都筑馨六」に丸傍点]、小松原英太郎[#「小松原英太郎」に丸傍点]、藤田四郎[#「藤田四郎」に丸傍点]、古澤滋[#「古澤滋」に丸傍点]の如き其他中央官府及び地方廳に散在する屬僚の如き、皆是れなり。
顧みて山縣侯の系統を見よ、現内閣に於ては、清浦奎吾[#「清浦奎吾」に丸傍点]、曾禰荒助[#「曾禰荒助」に丸傍点]、桂太郎[#「桂太郎」に丸傍点]の三氏固より侯の直參たり[#「侯の直參たり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]荒川顯正子[#「荒川顯正子」に丸傍点]の如きは、世人或は伊藤系統に屬するものなりと想像するものあれども、子は夙に山縣侯の推挽によりて漸く顯要の位地を占めたる人なるを以て[#「子は夙に山縣侯の推挽によりて漸く顯要の位地を占めたる人なるを以て」に傍点]、若し兩侯兩立せざるの時あらば[#「若し兩侯兩立せざるの時あらば」に傍点]、子恐らくは[#「子恐らくは」に傍点]、伊藤侯に背くも山縣侯に背く能はず[#「伊藤侯に背くも山縣侯に背く能はず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]青木周藏子[#「青木周藏子」に丸傍点]の傲岸不遜は、伊藤侯にも井上伯にも忌まるれど、獨り山縣侯は善く之れを容れ[#「獨り山縣侯は善く之れを容れ」に傍点]、第一次の内閣にも外務大臣の椅子を與へ[#「第一次の内閣にも外務大臣の椅子を與へ」に傍点]、今の第二次内閣にも又子を外務
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