[#白ゴマ、1−3−29]されど彼れが下院に於ける演説の敵の皮肉を穿つの警語多きは[#「されど彼れが下院に於ける演説の敵の皮肉を穿つの警語多きは」に傍点]、其能く人心の弱點を看破するの明あるが爲めにして[#「其能く人心の弱點を看破するの明あるが爲めにして」に傍点]、其時として荒誕附會に類するの言論あるは[#「其時として荒誕附會に類するの言論あるは」に傍点]、亦餘りに暗黒の一面を偏視するが爲めなり[#「亦餘りに暗黒の一面を偏視するが爲めなり」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]若し彼れをして今少し眞面目ならしめ[#「若し彼れをして今少し眞面目ならしめ」に白丸傍点]、今少し健全の思想を有せしめば[#「今少し健全の思想を有せしめば」に白丸傍点]、彼れは代議士として實に得易からざるの人物なり[#「彼れは代議士として實に得易からざるの人物なり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]惜いかな無學にして大體に通ぜず[#「惜いかな無學にして大體に通ぜず」に白丸傍点]、無識にして組織的成見を有せず[#「無識にして組織的成見を有せず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]是れ其動もすれば正徑を誤るの盲動ある所以なり[#「是れ其動もすれば正徑を誤るの盲動ある所以なり」に白丸傍点]。
 されど彼は兎も角下院の名物なり※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ動けば[#「彼れ動けば」に白丸傍点]、議場は一個の劇壇にして[#「議場は一個の劇壇にして」に白丸傍点]、彼れは宛然たる政治的俳優なり[#「彼れは宛然たる政治的俳優なり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]是れ彼れが名の海内に持て囃さるゝ所以に非ずや[#「是れ彼れが名の海内に持て囃さるゝ所以に非ずや」に白丸傍点]。(三十一年十月)

     口碑上の豪傑

 ※[#丸中黒、1−3−26]凡そ豪傑には二種の別がある。第一種は一國又は世界の問題の提出者ともなり、實行者ともなり若くは其の批評者ともなつて、其の言動が歴史上の或る部分を作る人物である。第二種は、其の事業よりいへば歴史に關係するほどの幅も厚さもないが、然しながら異常の個人性があつて、後世永く人口に膾炙する人物である。前者は之れを稱して歴史的豪傑[#「歴史的豪傑」に白三角傍点]といふべく、後者は口碑的豪傑[#「口碑的豪傑」に白三角傍点]とでもいふであらうか。
 ※[#丸中黒、1−3−2
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