29]人は曰く、責任内閣は近衞公の初戀なり[#「責任内閣は近衞公の初戀なり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]故に終生志を渝へざる可しと[#「故に終生志を渝へざる可しと」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]彼れが初期議會以來、常に責任内閣、藩閥打破を主張して、所謂る貴族院に於ける硬派の首領たるは、即ち其初志を貫徹せむとするが爲めのみ、彼れが其平生師父の禮を以て待てる伊藤侯と政敵たるを辭せざるも、亦此れが爲めのみ※[#白ゴマ、1−3−29]彼れが衆議院の非藩閥派と屡々提携して、其運動を倶にするの迹あるも、亦此れが爲めのみ※[#白ゴマ、1−3−29]故に彼れは伊藤侯の一派に敵視せられ、大隈伯の一派に多くの政友を有すと雖も、是れ唯だ政見の異同より來れる結果のみ※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは決して大隈派に非ざるのみならず[#「彼れは決して大隈派に非ざるのみならず」に傍点]、大隈派の盛んに伊藤攻撃を事としたるの時は[#「大隈派の盛んに伊藤攻撃を事としたるの時は」に傍点]、彼れは未だ大隈伯に一面識すらなきの日なりき[#「彼れは未だ大隈伯に一面識すらなきの日なりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは主義の爲めに伊藤侯と爭ひたるも[#「彼れは主義の爲めに伊藤侯と爭ひたるも」に傍点]、曾て黨派的感情の爲めに其去就を定めたることはあらじ[#「曾て黨派的感情の爲めに其去就を定めたることはあらじ」に傍点]。

      華族社會の好一對
 近衞公と西園寺侯とは華族社會の好一對なり、近衞公は現に貴族院議長たり[#「貴族院議長たり」に傍点]、西園寺侯も亦曾て貴族院に副議長[#「貴族院に副議長」に傍点]たりき※[#白ゴマ、1−3−29]西園寺侯は現に伊藤内閣の文部大臣たり[#「伊藤内閣の文部大臣たり」に傍点]、近衞公も亦曾て松方内閣より文部大臣を擬せられたりき[#「松方内閣より文部大臣を擬せられたりき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]近衞公は久しき以前より機關雜誌を發行して[#「機關雜誌を發行して」に傍点]、今も尚ほ現に之れを所有せり[#「今も尚ほ現に之れを所有せり」に傍点]、西園寺侯も亦前年曾て一新聞を發行して自ら之れが記者たることありき[#「一新聞を發行して自ら之れが記者たることありき」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]其位地境遇何ぞ太だ相似たるや。
 特に近衞
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