を備へたり。是に由て之れを觀れば、彼れの感化力も亦驚くべきものなくむばあらず。以て彼れの眞價の存する所を知るべし。(四十一年一月)
活動したる河野廣中
△河野廣中の奉答文事件は、一時疑問の中心と爲つて、是れには黒幕があるの、進歩黨の策略だのと、いろ/\揣摩憶測をするものがあつたが、追々事實が擧がるに從つて、黒幕の仕事でも何でもない、河野一己の腦中から生れた趣向[#「河野一己の腦中から生れた趣向」に白三角傍点]であつたことが分明《わか》るやうになつた。
△兎角政治社會には、政略とか利害とかいふものがあつて、總ての觀察が色眼鏡を通して來るから、動もすると事實を曲解する傾があつて困まる。河野のやうな自ら欺くことの出來ない男が自分に何等の信念もないのに[#「河野のやうな自ら欺くことの出來ない男が自分に何等の信念もないのに」に白丸傍点]、唯だ策士の入智惠でアンな際どい芝居が演られるものでない[#「唯だ策士の入智惠でアンな際どい芝居が演られるものでない」に白丸傍点]。又た河野は正直だからといつて[#「又た河野は正直だからといつて」に白丸傍点]、一から十まで人の御先に遣はれる役目と極まつて居る道理もない[#「一から十まで人の御先に遣はれる役目と極まつて居る道理もない」に白丸傍点]。ソンな河野なら[#「ソンな河野なら」に白丸傍点]、福島事件の張本と爲つて[#「福島事件の張本と爲つて」に白丸傍点]、七年も八年も監獄の飯を食ふやうな陰謀を企てない[#「七年も八年も監獄の飯を食ふやうな陰謀を企てない」に白丸傍点]。
△奉答文事件は[#「奉答文事件は」に二重丸傍点]、河野本來の面目を遺憾なく發揮したものである[#「河野本來の面目を遺憾なく發揮したものである」に二重丸傍点]。
△一體當世の策士といふ奴は、陰險だの狡猾だのといつても、其の策略は大抵常識から割り出したもので、萬朝報の寶探しよりはモソツと判り易いやうに仕組まれて居る。河野は策士といはれる方でないから、所謂る策略といふやうなことは出來ぬかも知れない。併し策士の思ひも寄らぬ非常の決斷は[#「併し策士の思ひも寄らぬ非常の決斷は」に白丸傍点]、河野の如き眞面目の人物に見出ださるゝことが多い[#「河野の如き眞面目の人物に見出ださるゝことが多い」に白丸傍点]。
△常識から見れば、河野の奉答文私製は、到底正當の處爲と認め難い
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