政治をして私利私慾を目的とする一種の營業たらしめ、其の爭ふ所は、官職若くは利益上の條件にして敵味方の分かるゝ起點は亦唯だ此の一事に在り、是れ固より政治階級の總墮落といふの外なしと雖も、一は閣下等を包擁せる屬僚の行動も、亦與つて大に咎めありと斷言せざる可からず。
 凡そ今の藩閥家にして[#「凡そ今の藩閥家にして」に傍点]、最も多數の屬僚を有するものは閣下に過ぐる者なく[#「最も多數の屬僚を有するものは閣下に過ぐる者なく」に傍点]、而して其の屬僚の爲めに政治上の過失を犯したるもの[#「而して其の屬僚の爲めに政治上の過失を犯したるもの」に傍点]、亦閣下より太甚しきものあらじ[#「亦閣下より太甚しきものあらじ」に傍点]、伊藤侯は自己の伎倆を信ずるの政治家なるを以て閣下に比すれば屬僚を有すること少なきのみならず[#「伊藤侯は自己の伎倆を信ずるの政治家なるを以て閣下に比すれば屬僚を有すること少なきのみならず」に傍点]、其の屬僚の侯に對するや隨がつて唯だ服從的状態を有するに過ぎずと雖も[#「其の屬僚の侯に對するや隨がつて唯だ服從的状態を有するに過ぎずと雖も」に傍点]、而も尚ほ屬僚の爲めに大事を誤まらるゝことなきに非ず[#「而も尚ほ屬僚の爲めに大事を誤まらるゝことなきに非ず」に傍点]、况むや閣下に於てをや[#「况むや閣下に於てをや」に傍点]、蓋し閣下は常に政治家の位地に※[#「糸+二点しんにょうの遣」、第4水準2−84−58]戀する人なるも[#「蓋し閣下は常に政治家の位地に※[#「糸+二点しんにょうの遣」、第4水準2−84−58]戀する人なるも」に白丸傍点]、未だ政治家の任務に付て自己の伎倆を信ずる人に非ず[#「未だ政治家の任務に付て自己の伎倆を信ずる人に非ず」に白丸傍点]、故に屬僚の閣下に對するや[#「故に屬僚の閣下に對するや」に白丸傍点]、始めより服從的状態を有せずして[#「始めより服從的状態を有せずして」に白丸傍点]、寧ろ顧問的關係若くは師傅的關係を有せり[#「寧ろ顧問的關係若くは師傅的關係を有せり」に白丸傍点]、是れ閣下の内閣が屬僚政治の爲めに其の威信を失ひたる所以なり[#「是れ閣下の内閣が屬僚政治の爲めに其の威信を失ひたる所以なり」に白丸傍点]。
 相公閣下、閣下は多數の屬僚を有するに於て今も尚ほ政治上の一勢力たるを失はずと雖も之を政治家の名譽より見れば、決して自ら誇る可
前へ 次へ
全249ページ中143ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング