「學理」に白丸傍点]に在りて事實[#「事實」に白丸傍点]に存せじ、是れ其の均しく博覽多識なるに拘らず、一は最も經濟[#「經濟」に白丸傍点]に精しく、一は最も立法[#「立法」に白丸傍点]に長ずる所以なり。
 伊藤侯は公卿華族[#「公卿華族」に白丸傍点]の如く、大隈伯は大名華族[#「大名華族」に白丸傍点]の如し※[#白ゴマ、1−3−29]故に莊重の中に優美を寓す[#「莊重の中に優美を寓す」に白ゴマ傍点]るは伊藤侯にして、莊重にして且つ豪華[#「莊重にして且つ豪華」に白丸傍点]なるは大隈伯なり※[#白ゴマ、1−3−29]伊藤侯は威儀を修めて未だ雋俗ならず[#「威儀を修めて未だ雋俗ならず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯は偉觀を求めて終に閑雅の風に乏し[#「偉觀を求めて終に閑雅の風に乏し」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯に逢ふものは、其の敬す可くして狎る可からざる[#「敬す可くして狎る可からざる」に白丸傍点]を思ひ、伊藤侯に接するものは、其の悦ぶ可くして畏る可からざる[#「悦ぶ可くして畏る可からざる」に白丸傍点]を感ず※[#白ゴマ、1−3−29]是れ其の均しく貴族的姿致あるに拘らず、一は武骨[#「武骨」に白丸傍点]を以て勝ち、一は文采[#「文采」に白丸傍点]を以て優る所以なり。
 伊藤侯の辭令は滑脱婉麗にして些の圭角なし[#「滑脱婉麗にして些の圭角なし」に白丸傍点]、以て夜會の酬接に用ゆ可く※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯の辭令は機鉾鏃々として應答太だ儁[#「機鉾鏃々として應答太だ儁」に白丸傍点]、以て戰國の外交に用ゆ可し※[#白ゴマ、1−3−29]其の言を發して情致あるは[#「言を發して情致あるは」に白丸傍点]伊藤侯の長所にして、其の語を行ること奇警なるは[#「語を行ること奇警なるは」に白丸傍点]大隈伯の妙處なり※[#白ゴマ、1−3−29]若し夫れ談論滔々として竭きざるの概に至ては、未だ遽かに軒輊し難きものありと雖も、伊藤侯の音吐朗徹聲調抑揚あるは[#「音吐朗徹聲調抑揚あるは」に白丸傍点]、演壇の雄辯[#「演壇の雄辯」に白丸傍点]として大隈伯に優ること一等※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ精明深刻舌端に霜氣あり[#「精明深刻舌端に霜氣あり」に白丸傍点]、座談久うして益々聽者を倦ましめざる[#「座談久うして益々聽者を倦ましめざる」に白丸傍点]は是
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