治組織と爲し、官吏登庸法を制定して、選叙を嚴にしたる如き皆主として藩閥を控制するの意より出でずむんばあらじ[#「皆主として藩閥を控制するの意より出でずむんばあらじ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]世間或は侯が總理大臣を以て宮内大臣を兼攝したる當時の位地を評して曰く、是れ侯が信用を宮中に固めて、自家の權勢を保全するの秘策なりと※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ然り然りと雖も[#「夫れ然り然りと雖も」に白丸傍点]、此秘策は國民に對して壓制政治を行ふの準備に非ずして[#「此秘策は國民に對して壓制政治を行ふの準備に非ずして」に白丸傍点]、亦實に藩閥を控制するの意に外ならざるが如し[#「亦實に藩閥を控制するの意に外ならざるが如し」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]之れを要するに侯の施設は[#「之れを要するに侯の施設は」に傍点]、大抵藩閥と利害を異にするものたるに於て[#「大抵藩閥と利害を異にするものたるに於て」に傍点]、藩閥者流は漸く侯に慊焉たらざるを得ざるに至り[#「藩閥者流は漸く侯に慊焉たらざるを得ざるに至り」に傍点]、其結果として所謂る武斷派なるもの起り[#「其結果として所謂る武斷派なるもの起り」に傍点]、而して山縣内閣と爲り[#「而して山縣内閣と爲り」に傍点]、而して松方内閣と爲り[#「而して松方内閣と爲り」に傍点]、終に選擧干渉に失敗して[#「終に選擧干渉に失敗して」に傍点]、藩閥大に頓挫したると共に[#「藩閥大に頓挫したると共に」に傍点]、伊藤侯復た出でて内閣を組織したるは第四議會將に召集せむとするの時なりき[#「伊藤侯復た出でて内閣を組織したるは第四議會將に召集せむとするの時なりき」に傍点]。
第二伊藤内閣組織せらるゝや、侯は竊かに故陸奧伯の手を通じて自由黨と提携するの端を啓き、日清戰爭の後に至て終に公然提携の實を擧げ、板垣伯に内務大臣の椅子を與へて、一種の聯立内閣を形成したりき※[#白ゴマ、1−3−29]是れ一は議院操縱の必要より來れるものなる可きも、其主要の目的は[#「其主要の目的は」に白丸傍点]、實に藩閥を控制せむとするに在りしや疑ふ可からず[#「實に藩閥を控制せむとするに在りしや疑ふ可からず」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]此を以て最も伊藤内閣に反感を抱きしものは[#「此を以て最も伊藤内閣に反感を抱きしものは」に二重丸傍点]、藩閥武
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